Onely One
□むかし
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耳がいたくなるほどに静かな学校の屋上。
池袋の街の中で一番空が広く見える場所。
いつもと変わらない赤く美しい夕焼け。
フェンス越しに見上げる空は広すぎて、自分が鳥籠に閉じ込められているように思える。
しかし、その鳥籠から出たいと思ったことは1度だってないのだ。
隣りにいてくれる人がいる。
『平和島静雄』
静雄がいるだけで全てが満される。
なんてことは言わない。
ただ一つの事を除けばそれなりに満される。
僕は人間が好きだ。
だから人に好かれたいという欲情が強い。
しかし誰も僕のことを好きになってくれない。
だからイライラして人を傷つけてしまう。
悪循環の毎日。
それでもまともに生きていけるのは(とはいってももともとの性格が歪んでいるのだが)静雄のおかげかもしれない。