お題

□バカ、意識しすぎ
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りんちゃんはホンマにかわええと思う。




何がって?そりゃ顔は勿論かわええけど、可愛すぎるけど。



1つ1つの言動がな、一々かわええねん。




例えば、俺が何かを(世間では愛の言葉言うらしい)耳元で囁くとする。



彼女はまず、顔を近付けられたことに真っ赤になって、暫くぼおっと意味を考えてから、さっきよりもっと赤くなるだろう。




急に手を繋いだ時は、



びっくりした顔で俺を見上げて、遠慮がちに握り返すに違いない。




俺がキスしたいと言えば。



……そやな、今度言ってみるわ。






そんなかわええ俺の(←重要)りんちゃんは、俺の肩に頭を預けて就寝中や。


こんな無防備で可愛い姿誰にも見られたくないのが本音やけど、なぁ。




謙「りんちゃんぐっすりやな」




……この男、自称浪速のヘタレスターが何故いるのか。




謙「ヘタレてへんし!せめてスピード付けて下さい」



白「はいはいヘタレ」



謙「さっきより酷くなっとるわ!ちゅーかお前りんちゃん絡むと黒くない?」




当り前やろ。何休日にりんちゃんと出掛ける約束してんねん。
そんなん俺が放っておくわけないやろ?


嫌味をたっぷり含んだ目で謙也を見とったら、ハァと肩を落とされた。




謙「2人やないやん。友香里と翔太もおったし」



白「2人行動してたけどな」



謙「翔太と友香里2人きりにさせてあげたいってりんちゃんが言ったんやし、しゃーないやん」




妹の友香里は、謙也の弟の翔太くんが好きらしい。
で、一緒に遊園地に行きたいけど2人きりは嫌らしく、りんちゃんと翔太くんの兄の謙也を誘ったゆうこと。

え、何で俺がおるって?


そんなん尾行してたからに決まっとるやん。



出口で待ち伏せしとった俺を見た謙也と友香里は、おもろい程に顔を真っ青にさせた。

その後ろから顔を覗かせたりんちゃんはな、キョトンとしながらも嬉しそうに笑ってなぁ、
『白石さん』言うて近付いて来たんやで?
可愛すぎるわほんま…内緒にされてたことなんてもうどうでもええ、兎に角りんちゃんの可愛さが犯罪級なことが言いたいんや俺は。




謙「そんなことより、友香里と翔太が(お前を恐れて)用事ある言うて消えたことと、今は帰りの電車の中や言うことを説明した方がええやろ」



白「…何でさっきから心の声聞こえとるん?」



謙「りんちゃんのこと語るあたりからめっちゃ声に出てたからな!無意識とか言わせへんで」




そやった?と首を捻る俺に、ぐったりした様子の謙也。
「お前はほんまイケメンやのに…あれやな、残念やな」とブツブツと念仏を唱えるように呟き始めた。



イケメンやなんて、りんちゃんの目にさえかっこ良く映っとったら、それだけでええ。




白「(…どう映ってるんやろ)」




良く"王子様"とか"ウサギみたい"とか思っとるのは知ってるけど……

うん、メルヘンなりんちゃんもかわええな。


ちゃうくて、俺はりんちゃんに男としてもっと意識して欲しいねん。
甘えたりとか、弱音とかも吐いて欲しい。




怒りとか、悲しみとか、そういう負の気持ち、全部ぶつけて欲しい。






ガタン。
りんちゃんの寝顔を見つめとったら、電車が大きく揺れた。



突然のことにりんちゃんの身体を押さえるのが遅れてしまい、




謙&白「「!」」




次の拍子に、バランスを崩したりんちゃんの頭が謙也の肩にポスッと触れた。


りんちゃんは真ん中に座っとったから、あり得ることやけど…




白「……………」



謙「目で殺そうとするの止めや…!!しゃーないやん、俺がしたわけやないし」




んなこと知っとるわ。ただ、目の前で好きな女の子が別の男(謙也やけど)に触れてるのがどうしても気に入らない。


謙也も顔を赤くさせ、わかりやすく戸惑っとるし。




白「…意識しすぎや」



謙「!?し、してへんし///」




嫉妬しない方が可笑しいやろ。




すーすーと気持ち良さそうに寝息を立てるりんちゃんの手を引き、自分の方へ倒れさせる。

再び、自分の肩に温かな熱を感じて満足した。



謙也から何か言いた気な視線を向けられようとも、幸せだと気にならないもんなんやな。




『……の……と……』




ソプラノの可愛い声がした思うたら、目を瞑ったままりんちゃんがもぞもぞと動いていた。


起こしてもうた…?と心配になってその顔を覗き込んだ時、






『……しらいしさんの………こと…………すきじゃ…………なくて…………』



白「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え」



謙「白石ぃぃいしっかりしいや…!!」




あまりの衝撃に反応が大幅に遅れてまうと、謙也が手を伸ばし俺の肩を揺すった。



すきじゃなくて………スキジャナクテ?




目を見開いたまま固まってもうた俺は、謙也の慌てた様子の声も聞こえんくて。




『………………すきじゃ……なくて……………』




全ての音が静止しとったのに、りんちゃんの声だけは不思議とすんなり届いた。


……ああ、こんなフレーズやなかったら良かったんやけどなぁ。









『……だいすき……なの…………』





心ここにあらず、というくらいぼおっとしとった俺は、又もや反応が遅れてしまい。





"すきじゃなくて、だいすきなの"





意味を理解した瞬間、カアッとおもろいほど顔に熱が溜まっていく。




白「(っなんちゅー大告白………)」




俺の夢を見てくれてるんやろか。
それだけでも嬉しいのに、恥ずかしがりやのりんちゃんが好き言うてくれるから。



そう呟いた寝顔が、あんまりにもかわええから。






白「(…アカン、俺)」




ここが電車の中やなかったら、謙也がいなかったら、

おでこにキスすることが出来るのに。




謙「白石、」



白「……何や」



謙「意識しすぎはどっちやっちゅー話や」



白「うっさいわ……」






どうかこの電車が、まだ止まりませんように。










(ん……ふわあ!?(し、白石さんのドアップ!))
(すー…すー…)
(堪忍なぁ…寝苦しかったやろ)









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