小話

□永遠の惚気話
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※本編の『birthdayデート』後の話です。











小「蔵リ〜ン」



白「小春、」




午前の授業終了を告げるチャイムが鳴ると、同時にクラスのドアが開かれた。


高校では理系、文系、と別れているので、同じ理系の小春は隣のクラスで割と近かった。




小「今日ね、ユウくんと屋上でお昼食べる約束してるのよぉ。蔵リンも一緒にどお?」



白「俺も?」




白石は机の上の教材を仕舞いつつ、んーと考える。



ユウジはきっと、小春と2人きりがいいに違いない。


けれども自分を誘うということは、小春としてはその状況に低抗があるのかもしれない…(今更だが)




白「…うん、ええよ」



小「ほんま?ほな、ユウくん待っとるから早よ行こ!」




小春に腕を絡められ、白石は鞄を持ちついていった。




「見て!白石くんが連れてかれちゃう!!」



「私達の昼の楽しみが…」




それを見かねた、白石を昼休みに観察することを1日の娯楽としていた女子達が、一斉に肩を落とした。

























小「ユウくん、あ〜ん」



ユ「!!(こ、小春の卵焼き…)あーん…」



小「やっぱり私食べたいわぁ」



ユ「そんな…!」




モグモグと卵焼きを口に運ぶ小春に、壮大にショックを受けているユウジ。


2人の正面で、白石はその光景を見て苦笑していた。




ユ「そや、謙也は?」




今思い出したように、ユウジは首を捻る。


自分の親友はそんなに影が薄いのかと、少しばかり可哀相になった。




白「あいつ放送委員やから」



ユ「あー何ややっとったな」



小「じゃ、終わったら来て貰いましょーよ」




小春の言葉に白石も「そやな」と頷いた。


制服のポケットから携帯を取り出して、メールを打ち始める。

と、前から視線を感じたので顔を上げれば…ユウジと小春がじっと携帯を見ていた。




白「?何?」



小「蔵リン…随分可愛いストラップやね」




自分の手元に視線を戻し、ああと気付いた。



白石の携帯に付いているのは、シルバーの猫のストラップ。


大人っぽいデザインだが、男が付けるには少し勇気がいる。




ユ「女子からのプレゼントか?」



白「ちゃう、りんちゃんから貰ってん」



小「誕生日プレゼント?可愛いわね〜!」




キャーと女子のように盛り上がる小春。




白「お揃いなんやって…」




白石は目を細め、愛おしそうにそのストラップを手に取った。




ユ「…ほ〜えらいかわええことするな」



白「そうなんや!もうほんま可愛くて!」




ぽつりと呟いたユウジの言葉に、白石は過剰反応した。


その瞳は、待ってましたと言わんばかりの輝きを放っていて。




白「俺の為に悩んでくれたみたいでなぁ、それが一番嬉しいねん」



ユ「そ、そうか…」



白「渡す時も恥ずかしそうにしてな。俺がありがとう言うたら、嬉しそうに笑ってん」



小「へ、へぇ…」



白「もうなんや可愛すぎて、抱き締めてもーた」



ユ&小「「抱き締めたんか!!?」」




淡々と話して聞かせる白石に、思わず声を上げてしまった。




その後も、彼の惚気話は続き……






謙「おーお待たせ!…ってどうしたん!?」



小「謙也くん…」



ユ「もうどうにかしてや…あいつ」





ゲッソリとした顔で、飛び付いてきた2人。


謙也は首を傾げながら前を見ると、




白「お、謙也ー」




キラキラの眩しい笑顔を張り付けた、白石の姿があった。





もう、絶対に白石の前でりんの話はしないと、心に誓うのだった。




















***

白石の惚気話に慣れてない小春とユウジ。
謙也は毎度のように聞かされてるので、特に何とも思ってなかったり…。
「そーかそーか」と、呆れながらもちゃんと聞いてくれそう^^;

彼女にデレデレな白石を書くのは楽しいです。


読んで頂きありがとうございました!

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