ありがとうございます!


「好きな人」

※ナルト語りです。
いつか書きたい長編をイメージしてます。
シリアスです。
よろしかったら下記へどうぞ








 

あなたのことが好きで…

大好きで大好きで…

ずっと心に秘めておこうと決心したこの気持ちも

だんだん抑えきれなくなってきていて…

コップから溢れ出た水みたいに、ゆっくりとオレを侵食していく。

それに逆らう術なんて、持ち合わせているわけなくて、

行き先のないこの思いを打ち明けてしまったのは、もう三か月も前のことだった。









「カカシせんせー!」


今日の任務が終わり、解散を言い渡されると、帰るべくして背を向けた銀色の上司に声をかけた。


「……何よ、ナルト」


それに、めんどくさいとはっきりと分かる声を隠そうともせず、振り向いたカカシ先生に、胸の奥がズキンと痛んだのを気付かないフリをして、いつものように笑顔を作った。


「せんせーさ、どうせこの後暇だろ?」

「あ――…」


曖昧に言葉を漏らしながらチラチラと窺う視線が、今まで一緒に任務をしていたサクラちゃんやサイに向いていることなんて分かってる。
二人がいる手前、オレのことを邪険に扱うことが出来ないのだ。
それを知っていて、ワザと声をかけた。
卑怯かもしれないけど、今のオレはそのくらい必死だった。


「なあなあ、一楽行こうぜ!」

「俺は奢らないよ」

「ちぇっ、せんせーのケチ!」

「ケチなら行かないぞ」

「う、嘘だってば!オレってばちゃんと自分の分くらい払うもんね!」

「そこは、先生の分も出してやる、じゃないのか?」


クスクス笑ってみせる先生が、本当は全然笑ってないのをオレは知ってる。


「じゃ、さっさと行きますか」


先生はそう言って後ろの二人に手を振って歩き出した。
その後を追うように、オレも足を動かす。
幾分かして他の二人の気配がなくなると、自然と前を歩く先生の足が止まった。


「…で、今日は何?」


低い声にビクリと体が震えた。
振り返った先生の目は、嫌なものを見るかの様に、冷え冷えしている。
何度見ても慣れないそれに、喉の奥がギュッと締まる。


「懲りないねぇ、お前も。…そんなに俺が好き?」


軽蔑、侮辱。
そんな言葉が当てはまるだろう。
まるで嘲笑うかのような態度に、オレは覚えがあった。

そう、
まだ小さい頃のことだ。
大人たちから嫌というほど向けられた視線。
九尾が封印されていることを知らずに、何故、どうしてともがき苦しんでいたあの頃の感覚だ。
それを今、目の前の先生から感じる。


「………」


グッと拳を握り締め、俯いた。
他の人からだったら耐えられた視線も、カカシ先生からだとそうもいかない。
いつものように受け流すことなんか出来なくて、キリキリ痛む胃を庇うように背を丸めた。


「いい加減俺に付き纏わないでくれる?」


ナルト、と何も感情の乗っていない声で呼ばれ、目の前の地面が急にぼやけ出す。
そのまま去っていく先生を見ることなんか出来なくて、オレは、自分の下だけに降り出した雨を、ただずっと見つめていた―――








告白したのはオレからだった。
まだ先生と生徒の関係だったころから、ずっとカカシ先生が大好きで。
それが恋だと気付いたのは、エロ仙人との二年半の旅から帰ってきてすぐのことだった。

ダメもとで好きだと言ったオレに、カカシ先生はほんのり目元を赤くして、俺も好きだよ、と綺麗に微笑んだ。


『え………』


振られるとばかり思っていたオレは、一瞬何を言われたのか分からず、ぼんやりと先生を見返した。


『だからね、俺もナルトのこと好きだよ、って言ったの』


どこか投げやりに言われた言葉が照れ隠しなんだと先生の顔を見て分かると、オレは嬉しいのと信じられないので頭が混乱しだして…


『…もう!』


気付いた時にはカカシ先生の腕の中にいた。

求めていた温もりに、自然と目頭が熱くなる。

ずっとずっと、こうしてほしかった。
今まで嫌われてばかりだったオレには、それだけで涙が流れるほど嬉しかった。


それから、俺たちは二人の時間が増えた。
もちろんキスもそれ以上もした。
初めてのことばかりで戸惑うオレに、カカシ先生は優しく教えてくれた。


愛することを知ったオレに、愛されることを教えてくれた先生―――


幸せな時間はあっという間に過ぎて行って…

この関係がこのままずっと続くことを、オレは少しも疑いはしなかった。


でも………


些細なことをきっかけに、幸せだった時間は終わりを告げた。

今までこの手にあった温もりは、冷たい矢となってオレに降り注ぐ。


あの視線―――


嫌というほど浴びてきたあの視線を先生から感じたとき、
オレは自分のしてしまったことを激しく後悔したと同時に、


カカシ先生のオレに対する憎しみを理解してしまったみたいで―――







先生だけには嫌われたくはなかった。

大好きなカカシ先生だけには……




だから、先生…



さようなら。



オレってば、

本当にカカシ先生のこと、





大好きだったってばよ…













END



語りは書きにくいです
一応、こんな感じの長編を考えてます。
書けるかな?(笑)









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