魔王都物語
□一章「異世界」
2ページ/8ページ
「兄ちゃん!此処、埃っぽくてやだよ!」
暗くジメジメした蔵の中で、勝手についてきた弟…、勇太が叫ぶ。だが、飛龍はそんな弟を無視して電気のスイッチを探していた。
カチャッ!…
「ねぇ、兄ちゃんッ!」
無視され続ける弟は、大声で叫び始めていた。
いい加減、うるさくなってきたな…と溜め息をつき振り返る。
「嫌なら、ついて来なきゃ良かっただろう?」
そう言われると、ムスッと顔を膨らせ…『だって…』とぶつくさともらす。そして…
「もう、帰るッ!」
拗ねた勇太は、あっかんべーと舌を出してパタパタと走って行った。
「たっく、何をしに来たんだ?アイツは…」
勇太を見送り、飛龍は腕まくりをしてガサゴソと祖父の物をあさり始めた。
蔵には、古剣や不思議な石版…、良くわからないお面のような物…などなど…、たくさんあった。
…その中に、小さな木箱を見付けだす…
「…?コレが、もしかすると」
飛龍は期待を膨らませながら、その箱を開ける!
だが、箱の中から出てきたのは…
たった一冊の本だった。
「なんだ?コレ…」
その本は、どれくらい古いのかわからないほどにボロボロだ。
何処からどう見ても宝には、ほど遠いその本を飛龍は好奇心で開いた!