魔王都物語

□一章「異世界」
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「兄ちゃん!此処、埃っぽくてやだよ!」


暗くジメジメした蔵の中で、勝手についてきた弟…、勇太が叫ぶ。だが、飛龍はそんな弟を無視して電気のスイッチを探していた。

カチャッ!…


「ねぇ、兄ちゃんッ!」


無視され続ける弟は、大声で叫び始めていた。
いい加減、うるさくなってきたな…と溜め息をつき振り返る。


「嫌なら、ついて来なきゃ良かっただろう?」


そう言われると、ムスッと顔を膨らせ…『だって…』とぶつくさともらす。そして…


「もう、帰るッ!」


拗ねた勇太は、あっかんべーと舌を出してパタパタと走って行った。


「たっく、何をしに来たんだ?アイツは…」


勇太を見送り、飛龍は腕まくりをしてガサゴソと祖父の物をあさり始めた。

蔵には、古剣や不思議な石版…、良くわからないお面のような物…などなど…、たくさんあった。

…その中に、小さな木箱を見付けだす…


「…?コレが、もしかすると」


飛龍は期待を膨らませながら、その箱を開ける!

だが、箱の中から出てきたのは…
たった一冊の本だった。


「なんだ?コレ…」


その本は、どれくらい古いのかわからないほどにボロボロだ。
何処からどう見ても宝には、ほど遠いその本を飛龍は好奇心で開いた!



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