魔王都物語
□五章「とある刺客…?」
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『第五章 とある刺客…?』
翌日、飛龍達は当初の目的…入国許可書を入手する為に門へと向かっていた。
いつも通り、ユウは入手方法の説明も無しに黙々と前を歩いている。出来る事ならきっちりと説明はしてもらいたいな…と飛龍は思いユウに声を掛けた。
「結局、許可書ってどう貰えるんだ?」
黙々と歩いていたユウは立ち止まり、『あっ…』という顔をして振り返った。
…ユウはまるっきり忘れていたんだ。俺はなんとなくそう思った。
「行けば貰える。…というより、私が行って来ようか?」
そう告げながら、ユウは飛龍の後ろを指差した。
「?」
その先にあるのは?と首を傾げ、ユウの指差した方向を飛龍は振り返った。
…!?
その光景を見た瞬間、何があったのか理解する。同時に、前の言葉、ユウがまるっきり忘れている…という言葉を撤回しようと思った。
その先にあったのは、昨日の自分と同じように街の露店を見ながらはしゃぐ美奈の姿だった。
「…えーと。俺、アイツと一緒に店を見てます。」
はしゃいでいる美奈を止めるのは可哀相なので、此処はユウの気遣いを受けよう。飛龍はそう心で頷いた。
ユウは『分かった』と笑いながら金貨が入った袋を手渡した。
「好きな物を買ってやれ。あの服装じゃ目立つだろうからな…。」
そう言うとユウはフラリと人混みの中に消えていった。そして、飛龍は楽しそうにはしゃぐ美奈のもとに向かい買い物を始めるのであった。
―――――数分後
「飛龍くーん。似合う?」
ユウに言われた通り美奈の服を選んでいた。
…なんというか、こういうのって世間一般的にデートって言うんじゃないっけか?
そんな事を考えているうちに、顔が熱いような感じ飛龍は悩まされていた。気にすれば気にすれるほど悪化するソレに飛龍は、どうする事も出来ず…こっちを見る美奈から顔を逸らしていた。
「…まあ似合うと思う。」
「い〜んや、彼女にはこっちがお似合いだよ。」
……………
…。沈黙。どこからともなく現れた声に、飛龍も美奈も完全に止まってしまった。
目の前…いや、飛龍の後ろから突如現れた、この銀髪の…きわどいスケスケの服を持つ…男は全く知らない男なのだ。
ちなみに、色んな意味でツッコミどころ満載なのだが…、大きくズッサリとツッコむとしたら【非常にチャラい】だ。両手に華…そういう言葉がある。しかしこの男は限度が半端じゃない!両手どころか、後ろにも華という女性がたくさんと…。そんな相手に警戒してか美奈は飛龍の後ろに隠れていた。