NO.6 小説

□好き?嫌い?
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西ブロック、ネズミの隠れ家にて紫苑はNO.6のガイドブックをじっとみつめていた。

「ねぇ、ネズミ」
「なんだ?」

ネズミはベッドにうつ伏せの状態で本から目を離さずに応じる。

「ネズミってやっぱり小ネズミが好きなんだね」

ガイドブックにそう書いてあるよと紫苑。

「…使えるしな」
「だね、クラバスもハムレットもツキヨもかわいいよね。僕も好きだな」

紫苑はにこにこと笑ってややあってじっとネズミをみつめた。
ネズミは最初は相槌を打ちながらまた読書に耽っていたがいかんせん視線が気になる。

「なんだよ…?」
「なんで僕の名前はないの?」
「……」

ネズミは返答に迷う。
じっとみる紫苑の目がどことなく潤んでいるのは気のせいだ…。

俺は紫苑のことは恩人だと思っている。あの嵐の時に助けてくれなかったら俺はとっくの昔に死んでいた。
じゃあ、好きかと言われると、そうだとはっきり答えられない。
あのサソリとか俺が殺されそうになったからって紫苑がまさかあいつをのして殺そうとするのをみてあれは正直に怖いと思った。それ以外でも俺が死に掛けたら、それこそ邪魔するものは全員殺しかねなかった。

そう紫苑はよく分からないという点で怖いと感じている。


…ってあれ、紫苑俺死んだら暴走すんじゃねぇの?考えたら怖くなってきたので頭から追い払う。


「お前は好きっていうより怖い」
「どういう所が?」

紫苑は怖いと言われて首をかしげる。

「突然、思いもしないことをやってのけたりと分からないことがあるからだな、多分」

だが、嫌いではないとネズミは言った。
すると、紫苑は実に嬉しそうにほわほわと笑う。


…なんていうか単純である。


「(あの時のような殺意とか行動をみたりしたら誰でも怖いと思うのが普通だがなぁ…まぁ、紫苑は優しいからな…甘ちゃんという意味においてだけど)」

こんな関係も悪くない。
むしろ紫苑を知って行けば、怖いところもあるが、いい所もあって惹かれる。

「(結局の所、俺は紫苑を気にいっているんだから好きってことなのか…)」

そう思いながらもネズミは再び本に目を落とした。


END
 

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