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□お前の隣
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人間に取って三大欲求に入る程に、必要な欲求がある。
それは、睡眠欲だ。
「ダメだ。マットが硬い。てか、やっぱシングルは小さいな〜」
「・・・文句を言う前に、寝相を直せ。そうしたら、シングルで十分だと分かる筈だ」
「いっそ、ダブルにしようかな?」
家具店でブツクサ言う幼なじみを尻目に、ディスプレイ用のダブルベッドに寝転がる。
人の話は聞けだの何だの言われるが、それは置いといて端正な顔を見上げた。
「なぁ、トリ」
「何だ?眠たくなったとか、言うなよ?・・・お、いっ!」
乱れた前髪を梳かれ、その手を引っ張る。
真横に見えた瞳が驚いているのを、笑いながら指摘し告げた。
「やっぱ、お前も寝れる位に大きいやつ買おうかな。そうすれば、二人で仮眠する時便利だし。お前が隣で寝てくれたら、俺を起こしてくれるし」
「・・・」
「な?」
同意を求めれば、好きにしろの一言。
ならばと、枕に顔を埋める幼なじみの為に、キングサイズにしようかなと心を弾ませる。
「・・・。お前の隣でなんて、寝られるか・・・」
そんな、ぼやきを今は知らずに、二人でも大きいベッドを購入した。