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□紅色
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あの白い肌に紅色を施せば、さぞや美しさが増すのだろうに。
紅色
(負ける時は潔く)
「キモい。自分で、自分の思考回路がキモい」
「そのキモい思考回路で書かれたネームを見せられ、何てコメントして欲しいのか簡潔に言え」
打ち合わせに使う喫茶店にて冷たいコーヒーを啜り、そうだなと無駄に眉目麗しき編集者へと教える。
「してやろうか、とか言ってみ?鼻で笑ってやるからさ」
「・・・。何故、わざわざ笑われに行かないといけない。寧ろ・・・、お前の方が笑われる結果になるぞ?」
「なる訳ないよ。ピンク色の雰囲気、漫画で慣れてるし」
ズゾゾッと黒い液体を最後まで飲み干せば、色取り取りな世界を窓越しに見た。
そしてピントを直せば、目の前に座る人物を瞳が映し出す。
『してやろうか?』
「・・・へっ?・・・っ!」
窓越しに動いた唇の言葉を理解するまでに、赤色が首筋に添えられ少し痛みを加えられる。
気付いた時には、もう遅い。
紅色が首筋に施され、トリが悪戯に笑う。
「綺麗だな」
「なっ!?」
慌てキスマークを隠しても、簡単に消える事がない色が主張する。
「手慣れた雰囲気なんだろ?だったら、なぜ顔が赤いんだ?」
「・・・やっぱ、お前、嫌いだ」
「光栄だな」
コイツには、絶対に勝てない。