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□五月雨
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シトシトと降り続ける雨の所為で、少し肌寒い。

だから、人恋しくなるのは、仕方がない事なんだ。



五月雨
(温かくなるには?)



「お疲れ。片付けとくから、寝てきたら?顔、酷いよ?」

「優、ありがと・・・。なら、お言葉に甘えようかな」

「ちゃんと、布団被れよ。寒いからさ」

いつものデッド的な入稿が終わり、部屋には優しかいなく、外界には五月雨。

外音が雨に吸い取られているのか、静かな室内にスリッパの音が響き渡る。

(あ、でもトリが来るかな?)

寝室に行く途中で思い出し、ジーンズのポケットを探った。

小さな機械を取り出せば、ポチポチと操作しつつベッドへと向かう。

『今から寝ます。起こさないで下さい』

「でもトリの飯が食いたい。あと、アイス。それと、ビールもよろしく・・・。それと・・・」

メールの本文を書けば追記が増え続け、カーテンの向こう側にある五月雨を見遣る。

寒さに一瞬、身震いをしたのち、最後に付け加えた文字に頭を悩ませた。

「体力0だから、早く来て飯作れなんて・・・。無理に決まってんな」

クリアボタンを長押しして、全ての文を無かった事にする。

そして新たに書いたのは、簡潔な言葉。

『腹減った』

ポスンと枕に頭を沈ませて、携帯を掲げ作成した内容を削除する。

そうすると、コンコンと、控え目なノック音が響いた。
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