創作護廷十三隊
□外伝――恐怖の光と深淵の病み
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二番隊隊舎、副隊長室。
そこへ長身の女性が向かっていた。
四の羽織りを着て威風堂々と。茶菓子の小包を持ってニコニコと門をくぐる。友人宅に遊びに来たそれとなんら変わらない。
もはや定例となった、往診。
往診と言う名のサボリ。
尸魂界中の皆がそう認識していた。
ほんの一部を除いて。
「ましろ―、酒飲……お薬の時間だよ―?」
名目は往診なのだ、まかり間違っても酒など言えない。
副隊長室は、尸魂界の中でも特別製の部屋である。
内部の音は一切外へ漏らさず、数多の収納スペースを保有。
そして、全てに幻覚物質が含まれている。
四季は出来るだけ、眠れる少女に向けて笑顔を向けて入室し、戸を閉めた。
少女の傍らに座り込み、菓子袋を置く。
自然と溜め息が漏れた。
四十物ましろ(アイモノ マシロ)。
二番隊副隊長兼隠密機動第二分隊、警邏隊部隊長。
最速の男直属部下であり、二番隊で二番目に強い女。
彼女は今、病に伏していた。
桃色の髪よりも頬は赤くなり、苦しそうに息を続ける。
エアコンと湿度調整機は常にフル稼働し、悲しい音を部屋に満たしていた。