本日は快晴、雲一つ無い暁に染まる空。
SMSでの訓練は無し、久しぶりの何も無い放課後。
いや、正確にはとある予定へと足を運んでいる。
『EX-ギアで大空へと飛び立つ時間』よりも、『これからの予定の為の時間』を優先した。
それでも何ら後悔なんてして無いし、足取りは不思議な程軽い。
例えるなら、それこそ大空を自由に舞って居る様な気分だ。
……俺の柄じゃ無かったな。
進路は何時もの待ち合わせ場所、緋色の大気に包まれながら歩く俺。
今日は、アイツに会える日。
『あっ、あのね?アルトくん……今度の放課後、時間あるかな……?』
そう尋ねられたのは、つい三日前。
何かを決意した様な眼差しと、困惑を浮かべた表情を携えながら。
最近仕事が忙しいのか、暫く学校に来ていなかったランカが登校した日だ。
『ん……?あぁ、三日後の放課後なら確か…大丈夫だ。訓練もないハズだしな』
ランカはちょくちょく俺に電話を掛けてくる。
内容はその日の仕事の話だったり、宿題が溜まり過ぎていないかの確認だったり。
どうやら、俺を含めた『友達』と会えないのが寂しいらしい。
『ランカらしいな』と言えば、電話の向こうでむくれて居たが。
電話越しでは無い、久しぶりに聞くランカの声に一瞬鼓動が高鳴ったのを、無意識の内に隠しながら答えた。
『もっと早い方が良かったか?』
『えっ!?う、ううん!大丈夫だよ!?むしろ、それくらいの方が助かるっていうか……』
何故か頬を染め、語尾がどんどん小さくなっていくランカ。
『………?』
その意味が解らなくて、俺は首を緩く傾げるしか無かった。
その時に交わした約束が、三日後の放課後、グリフィスパークで。
そう言えばアイツ、今日も来てなかったな。
きっと仕事が忙しいんだな。売れっ子アイドルの宿命ってヤツか?
早くナナセ達に会いたいだろうに。シェリルともロクに会ってないんじゃないか…?
……ちゃんと飯、食ってんのか……?
テキトーに済ませばいい所でも頑張りすぎるからな、アイツ……
いや、そこがアイツのいい所なんだけどな……
……ランカの母親か?俺は……
そんな事を一人考えながら歩く内に、見慣れた丘が近付いていた。
先刻よりも日が落ち、景色が深紅に染まって行く。
どうやら俺の方が先に着いたらしい。
丘を登り、周りを見渡してみてもランカの姿は見えない。
相変わらずだな、と思う。
こんなにも景色が良い場所なのに、決まって人気が無いとは。
穏やかに流れる風を感じながら、待ち人を待つ。
―――俺にとっての、ランカのとの特別な場所。
何時だったか、「どうしてSMSに入隊したのか」と聞かれた事があった。
「チャンスだと思ったんだ」
あの時はそう答えた。
勿論、それについては嘘偽りは無い。
焦がれていた、本物では無いとは言え、空を飛べたら、と。
そして同時に、知ってしまったから。
名も知らない、徐々に短くなって行く生命の灯火から拝借したその力。
怖くない筈が無かった。直ぐにでも逃げ出したくなった。
それでも。
『ねぇ、聴いてくれる?』
『……好きにしろよ』
禍々しく、背筋を凍らせる程の脅威から守った生命。
「自分の生命を懸けてでも護る」と覚悟を決めたのは、お前が居たからなんだぞ?
展望台の手摺に両肘を掛け、そこに映る景色を見渡す。
穏やかに、風が流れる。
ゆっくりと瞳を閉じ、風を全身で感じながら。
アイモ アイモ
ネーデル ルーシェ――
――この歌詞の意味を俺は知らない。
ノイナ ミリア
エンデル プロデア
フォトミ――
――それでも、この歌は何時だって俺達を繋いでいる。
ここはあったかな海だよ――
――そうさ。俺はアイツが……
ゆっくりと瞳を開ければ、先程と変わらない景色。
「……やっぱり、俺の柄じゃ無かったな」
今日の俺はどうにも変らしい。
ランカに会えるから、浮かれて居るのか?
自分を笑うように鼻を鳴らし、視線を落としたまま手摺に背中を預ける。
穏やかに、風が流れる。
ゆっくりと目線を上げ、反対側の景色を瞳に映し込む。
「………」
………それは反則だろ?
反対側のその景色には、何時もより赤く染まったランカが居た。
俺達のカウントダウン
(………)
(えっと……上手、だったよ?)
-補足-
後半グダグダだね\(^O^)/
なんだかんだいって、アルトはランカちゃんが好きなんだよ(^p^)
ランカちゃんが話そうとしてた内容は、次回の小説で。
……まぁ、わかるか゚゚;