Present

□許されない愛でも
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「おおきくなったら、ルーシィをオレのおよめさんにしてやる!」

「ほんと…?」

「だからまってろよ。かならず──」














かならず…









カナラズ…











*******




ハッとして顔を上げると、部屋にはあたししかいなかった。

きっとみんな、気を使ってくれたんだろうな……

ふと自分の姿の映し出された鏡を見て、無意識に眉間にシワがよった。
全身真っ白い、フワフワとしたドレス。

あたし結婚するんだ…
頭に浮かぶ言葉はどこか他人事──いや、他人事ならどれだけ嬉しく、喜ばしいことだろうか。




「ふっ…」




小さく息を吐いて伸びをする。

ここは現実なんだと、実感する。
これが夢ならばよかったのに。
でなければ、あのまま夢の世界にいたかった。
グレイのいる、夢の世界……




「……あたし、結婚するんだよ?」




グレイじゃない人と……




「今日…結婚するんだよ?」

「ああ、知ってる」




突然の声に肩を揺らす。
目からこぼれ落ちた涙は、その声がずっと聞きたかった声だったからなのか。


顔を見たいけど、見たくなくて。見て欲しいけど、見て欲しくなくて、俯くことしかできなかった。





「もう、あたしはグレイのものじゃ…っなくなる…」

「…だろうな」




かわいくない、あたし。
本当は、こんなこと言いたくないのに…
まだ…ううん、これからも、あたしはグレイのことが…

グレイのことだけが…




「ふ、っう、…!」




いつの間にか、グレイはあたしの前にまわっていたみたい。


鼻をくすぐるこの匂いを、あたしは知ってる。

あたしの背中に回された腕の力強さも、知ってる。


ああ、抱きしめられてる……

ずっと会いたかったグレイに……






「オレはお前を攫いに来た」




耳元で囁かれた瞬間、涙は意図も簡単にピタッと止まった。グレイは、あたしから少し体を離し、頬に伝った涙を拭ったあと、徐々に顔を近づけてきた。




「なあ」

「…?」

「オレはお前が……ルーシィだけが好きだ」




唇が今にも触れてしまいそうな距離で言うグレイから目を逸らせない。




「ルーシィはもう、オレじゃなくアイツのことが好きなのか?」




まさか
あたしにはグレイしか
見えてない。

でもあたしはかわいくないから……






「うん、好きじゃない……」

「……」















「あんなヤツ、好きじゃない」







グレイ、ポカンとした顔面白いよ。

でもね、さんざんあたしを待たせたんだから、少しくらいヒヤッとしてくれたっていいでしょ?




「あたしね、グレイのこと──」





愛してる
それがたとえ、許されない愛だとしても



End

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