ナギの部屋
□海賊王は恋に落ちる
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「私、待ってます!ずっとずっと…貴方をお待ちしてます!」
最後に見たアイツの顔は…
涙で濡れていた。
引き裂かれる手と手。
…俺達は恋に落ちた。
だが、それは許されない恋。
海賊とお姫様。
身分違いの激しい恋だった。
俺達は二人で逃げた。
二人きりの世界を夢見て…。
だが、俺達は捕まり、引き裂かれた。
これが、最後の別れだと知ってたら、絶対にアイツの手を離さなかったのに…。
…例え、この腕がちぎれようとも。
「待ってろ!また攫いに行くから!今度は、絶対にお前を離さねぇから!!」
−−−−−−−−−−−−−−−−
アイツは待ってるって言った。
だけど、アイツがいるはずの場所に待っていたのは、大群の兵隊達。
何故だ?
嵌められた?
いや、アイツが俺を…裏切るはずがねぇ!
必死の思いで戦って、何とか逃げ延びたものの、俺の身体はもう限界に近い。
兄貴が助けてくれなかったら今頃…
…血が…止まらねぇ。
ようやく、俺も年貢の納め時か…。
酒に、女に、喧嘩、好き放題生きてきた。
この世に未練は…ねぇ。
だけど、一つだけ、、
最期にアイツの笑顔が見たかった。
抱きしめて、愛してる…
って言いたかった。
フッ…本気で愛した女の為に命を落とすとは…海賊王らしからねぇ末路だな。
「リュウガ!!」
遠くで兄貴が叫んでやがる。
俺の面倒、押し付けてすまねぇな…。後は頼んだぜ。
もし、いつか、アイツに会うことがあったら…
伝えてくれねぇか
「ずっと、お前を愛してる…と。」
薄れ行く意識の中で、見た。
手を差し延べるアイツを。
もう、離さない。
今度こそ、永遠に…。
〜fin〜