novel

□気取った彼
1ページ/5ページ

 
気取った彼


事の発端は怪しげな男の垂れ込みによって始まった。

男が言うには、歌舞伎町より少し外れた場所。通称「新宿二丁目」にあるとあるバーに攘夷志士が良く来ているらしい。
と言うものであった。
その男の言う事を信じない訳にも行かず、真撰組で一番暇そうだった一番隊隊長の沖田を引き連れ、出動する事となった。
俺自身、自慢ではないが歌舞伎町界隈はそれなりに顔も利くが、二丁目などといった所など足を踏み入れたことも無い未知の世界。
夜になると世にも奇妙な化け物紛いな妖怪共がウヨウヨ闊歩しているらしい。(沖田談)
俺と沖田は垂れ込みのあった「かまっ娘倶楽部」といった隠しようの無い怪しげなバーの前まで辿り着いた。

「沖田、後はお前に任せた」
それだけ告げると土方はクルリと店に背を向け、元来た道へ歩き出した。
「任せて下せぇ」
何時に無く頼りになる応答をする沖田に土方はホッと肩の力を抜き、胸ポケットから煙草を取り出し、一服しようとライターに火を付けた瞬間。


ドオォォーン


轟音と共に大量の砂埃と瓦礫の追い風が土方を襲ってきた。
そして次の瞬間には半壊した店から化け物が襲い掛かってきた。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ