novel

□プロジェクトH
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「え、多串君って車の免許持っていないんだ…ふーんそう…」
その銀時の一言で、この壮大なプロジェクトは始動した。


プロジェクトH


前々からら免許を採ったほうが良いと思っていたのであるが、自分自身が必要ないと一度思ってしまうと態々採りに行く気が起きなくてズルズルと過ぎていってしまったのは事実である。
隊士の殆どは車の運転は出来るし沖田も運転は荒いが免許を持っているから、不便も無かったし25にもなって教習所に行く気は無かったが、銀時からの何処か馬鹿にした様な一言にプライドに火がついた。



土方は申し込みを済ませた時点で郵送で受け取った教材を手にし、大江戸教習所へテクテクと歩いて向かっていた。

当然、服装は私服で黒の着流しに草履を履き、顔にはシルバーの縁無し眼鏡を掛けていて、刀類は一切持ってきていない。
真選組副長が運転免許を採りに来ているなど知れたら、彼のプライドはズダボロになるに違いない。
だから一般市民に見える様に変装したつもりだが、真選組内でもダントツの容姿を持っている土方は一見すると、どこぞのモデルに見える。
本人は始めは気が余り乗らなかったが、勉学や学ぶ事が嫌いな方ではないので、今ではワクワクとした期待に満ちている。


その少し離れた電信柱の影から三つの影がソワソワ動く。


「旦那…余計な真似しないでくだせぇ」
「だって、多串君が免許を持っていないなんて知らなかったんだもん」
「これまでの努力をどうしてくれるんだぃ?」
「万事屋には悪いが、酷いのなんのって…ブルッ」
記憶を掘り出した近藤は思わず身震いを起こす。
近藤・沖田・銀時は教習所に向かう土方の後を追っていた。
三人共私服だが、目元にはゴ○ゴ13を彷彿とさせる様な黒の丸渕サングラスをかけている。
銀時自身は興味本位だが、近藤と沖田は鬼気迫る形相をしている。
「てか、眼鏡っ子土方ってかなり萌えなんですけど!」
「元々トシは視力が良くねぇからな」
そうこうしている内に土方は教習所に着いてしまっていた。
 
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