銀魂夢小説(短編)
□護ってもいいですか?
1ページ/1ページ
――護られるだけは、性に合わないから。
そう言った彼女は胸の前で刀を抱く。
紫煙がくゆり、鼻腔に独特な匂いが香って思わず眉をしかめる。
それを愉快そうに見やる隻眼の男。
「で?何が言いてぇんだよ、おめぇは」
「私が、晋助を護る」
冗談を言っているわけではない。
彼女の瞳は真っ直ぐで、そこには一点の曇りもない。
「いのり、」
高杉は彼女の名を呼ぶ。
「私は、晋助より弱い。それは承知してる」
遮ったのは彼女。
「でも、晋助が、……晋助が、いつか、私の前からいなくなりそうで…怖くて…。だから、私が護る。晋助が私を護ってくれるように」
刀を持つ手が震える。再度名を呼ばれ高杉を見ると、彼は至極愉快そうに喉奥で笑った。
「へぇ、この俺を護るか。…ククッ…酔狂な奴だな」
なら、と次いで紡がれた言葉は、
「背中は預けたぜ、いのり」
((生きるも死ぬも貴方の隣で))
((そう願うのは、我が儘ですか?))