short-story
□怖い夢を見たんだ!!
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〜綱海side〜
朝、目を覚まして。いつも通り伸びをして、ベッドから足を下ろすと、俺は何かに足をぶつけた。
???
こんなところに何も置いてなかったはずなんだけどなぁ…。
そんなことを思いながら確認すると、そこに転がっていたのは…。冷たくなっている…。
綱「わぁぁぁあぁぁあぁ」
それを確認すると同時に俺は悲鳴を上げた。
円「綱海っ、どうしたんだ!?」
どたんっ、と大きな音を立てて円堂たちが俺の部屋に入ってくる。
綱「ぇぇぇ円堂…。立向居がぁぁっ!!」
円「立向居っ!?」
俺の足元に横たわっていたのは寝るときに着る半そでのままの立向居だった。
豪「落ち着け、綱海。寝ているだけだ」
!!?
寝てる!?手を伸ばしてそっと触ると立向居は寝息を立てていた。冷たかったのは床に寝ていたからと、朝の冷気のせいらしい。
綱「な、なんだ…驚かせんなよ、立向居」
俺は立向居をゆすって起こした。
立「…んっ?ぁ、綱海さん…それに円堂さん?おはようございます。あれ、どうしてここにいるんですか?」
それはこっちのセリフだぜ立向居。
綱「ここが俺の部屋だからに決まってんだろ。それよりもなんでこんなところに寝てんだよ。死んでるかと思っちまっただろっ!!」
そう言う俺に立向居は『じゃぁ布団に入ればよかったんですか?』と真面目に返事をした。
吹「そうじゃないでしょ立向居くん。どうして君はこんなところで寝てたの?」
少しあきれていた俺たちをよそに、吹雪は優しく立向居に質問する。
立「あっ…それはですね…」
立向居は少しの間口ごもり、やっとのことでもじもじと答えた。
立「こ、怖い夢を…見たんです…」
!!!!
その瞬間、俺と立向居を除く4人が驚いた様子でこちらを見てきた。
円「これ、夢じゃないよな…」
豪「俺もそう思った」
吹「キャプテンたちが夢見てるんなら僕たちとっくに目が覚めてるよ」
そんな会話をしながら豪炎寺と吹雪は円堂の後ろから風丸を引きずり出した。
綱「風丸!?」
いたのか!!
風「なんだか…立向居が自分と重なって、口が開かなかったんだ」
ん?自分と重なって…?
吹「風丸くんも今朝怖い夢を見て円堂くんを起こしたからだよ」
円「マジで驚いた」
へぇ、風丸が…意外だな。
すると立向居も口を開いた。
立「お、俺も…本当は綱海さんを起こすつもりで、でも・・・・・・
全然、起きて…くれなくて」
豪円風吹「あぁ〜〜」
それに合わせて納得の声が4つあがる。
綱「悪かったなっ!!起きれなくて」
仕方がないとばかりに発せられたその声は、妙に俺を追い詰めた。
――
俺は何とかこの空気を変えようと立向居を4人と一緒に送った。
その際、何を思ったのかは分からないが立向居の希望で俺たちはそのまま部屋の前で着替えを待つことになった。
吹「風丸くんなんかキャプテンが部屋から出ることすら許してくれなか『もういいだろうっ吹雪!!』…のにね」
円堂が苦笑いを浮かべながら2人の会話を聞いている。俺はその様子を豪炎寺と軽いため息をこぼしながら、兄貴らしく見守った。
すると、俺の後ろから『ばたん』と音がして着替えを終えた立向居が出てきた。
立「すみません、お待たせしました」
綱「いや、全然待ってねぇから安心しろ」
そう俺は答える。だけど立向居はなぜか浮かない顔をしていた。
綱「どうした立向居。本当に俺たちは大した時間待ってねぇぜ?」
豪「あぁ。気にすることはない」
立「あ、いえ。そうじゃないんです」
しかし立向居は俺たちの予想を否定した。
不安に思っているのは俺たちを待たせたこと以外にあるらしい。
綱「じゃあ何なんだ。お前がそんなに顔が青くなるくらい気にしてることは?」
立向居はゆっくりと答えた。
立「…あのっ、本当に突然ですみませんが…さっきから変な音と声がしてませんか?」
!!!?
その言葉に風丸、円堂、吹雪が反応する。そういえば風丸も怖い夢を見たらしいし。気になるんだろうか…?
風「な…何かの間違いじゃないのか…?」
豪「俺にはよく分からないが…」
吹「ん〜…どうだろう。今は朝だし…お化けなんていないと思うけど」
3人が立て続けに否定する中、円堂はじっと耳をすましていた。
円「いや、立向居は『ムゲン・ザ・ハンド』を習得している。耳は俺たちよりもいいはずだ」
その一言に俺たちは、はっとする。
綱「おい立向居。その声はどっちから聞こえるか分かるか?」
立向居は廊下の先を指差した。
立「あっちから、聞こえます」
円「よし、行くぞ」
それを確認すると円堂は立向居の指差す方へと歩き出した。
風「円堂!?確かめに行くのかっ?」
円「だって気になるじゃん、イヤだったら俺から離れて先に食堂で待っててもいいぞ?」
風「うっ…分かった。行くよ」
立「そんなに遠くはないです…。もしかしたら誰かの部屋かもしれません」
吹「僕の部屋じゃないといいな」
豪「俺も行く」
結局俺も含め、このメンバー全員で見に行くことになった。
立「ここの中です!!」
立向居がある部屋の前で止まる。
!!!!
綱「おい…ここって」
吹「なんか、意外だね。間違いないの?」
円「あぁ間違いない。俺にも聞こえるから」
俺たちはその部屋の扉に手をかけた。
部屋の主、『鬼道有人』の名を呼びながら。