short-story

□不器用な恋
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雪が積もり、外が白く染められた今日。俺は休み明けテストに向けて勉強しようとマックスの家に行き、数学を教えてもらっていた。

半「寒いな〜。」

ノートと消しかすで埋めつくされているコタツにならんで座り、窓の外から舞う雪を眺める。

松「そりゃあ冬だからね。」

俺のつぶやきにマックスはごく当たり前な返事を返すと、あらかじめ綺麗にむいてあったみかんを一口ほおばった。

まぁそうだよな。これだけ雪が積もれば…。

目線を移し、何気なく横目でマックスを見る。
すると、以外なことになぜかマックスも同じようにこっちを見ていて、視線がぶつかった。

わっ、と小さな驚きの声が漏れ、手からシャーペンがぽとりと落ちる。

その反応を見て何が面白かったのかマックスはくすくすと笑い俺に言った。

松「ねぇ半田、勉強ばっかじゃ疲れるし、遊ぼう?雪だるま作ろうよ。」




 ―――――


マックスの気まぐれな一言で、俺たちは裏庭へと出た。
俺は自分の家からここへ来るときに着てきたコートをはおっている、マックスはマフラーに手袋という格好だ。

どう考えても薄着のマックスに、寒くないのかとたずねると、全然平気と元気よく雪の中へと飛び出していってさっさと雪だるまを作りはじめる。

慌てた俺もそれにつられてせっせと制作作業を開始した。

ころころとボールを大きく丸く形作る。

ぽてっと可愛らしかった手のひらサイズの2つの雪玉はあっという間にサッカーボールの大きさへと成長した。

半「よし、結構きれいな雪玉ができたぞ。」

俺は嬉しさから幼い子どものような笑みを浮かべ、マックスの方を見た。
しかしそこにマックスはおらず、ただ俺以上にでかく丸い雪だるまがほぼ出来上がった状態で置いてあった。

……速いし。なんでそんなに綺麗なんだよ。

なんか悔しかった。器用なマックスの前では自分のちっぽけな雪だるまも、恥ずかしいだけだと思えてしまって。

ぐしゃっと自分の小さな雪玉をなぐり潰す。
勉強もサッカーも楽しいはずの遊びでさえ。
俺って、マジ何やっても中途半端。そう痛感するとため息がこぼれた。

 
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