short-story

□不器用な恋
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けれど、落ちるはずのそれは、白く上へと上ってゆく。

なんでマックスは俺なんかと仲良しでいるん
だろう?

しゃがみこむと顔を伏せぽつりと名前をつぶやいた。

半「マックス…。」 すると。


ふわっ…

松「…呼んだ?」

後ろからそっとやさしく巻かれるマフラーと『これを取りに行ってたんだ。』と聞こえてきた声。

半「…っ。」

そのぬくもりはぎゅうっ、と俺を抱きしめる。
顔は見えないけれど確かに感じる笑顔。
あったかい。子ども体温…いや猫体温かな。

そう考えていると突然『落ち込んでた?』と聞かれてドキッとする。
だってさ…

半「俺、なんでお前と友達になれたのかなって思ってさ。お前みたいに器用じゃない中途半端な人間なのに。」

マックスはさらりと一言。

松「それはボクが半田のこと好きだからだよ。」

突然告白してきた。

半「んなっ…。」

松「半田はボクのこと好き?」

本気で言っているのか…?
もしそうなら、そんなこと急に返事できるわけない。

半「…ど、どっちだっていいだろ。それよりなんで抱きついてんだ?」

マックスはそんな俺の心境に感づいたのかそれ以上は追及せず笑いながら答える。

松「だって、あったかいでしょ?」

…あ、あぁ。確かにとてもあったかい。マフラーもお前も。

半「でもマックスは寒くないのか?」




松「…すっごく寒い。」


そう言いながらさらに強く俺に抱きつくマックス。

半「なら家の中に入ってまたコタツにあたらないのか?」

聞いてみてもマックスはちっとも動こうとしない。

半「おい、マッ…」


松「もうすこしだけ…このままがいいから。」
 
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