○story○
□白い朝
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空が白く明けて、眠る時間がやってくる。
最後だから、と、いつもは一緒に眠る枢にお願いして、今日だけは別々のベッドに入る。
カーテンの隙間から洩れる光が眩しくて、
ぎゅっと目を瞑った。
いつもあなたが傍にいて、守ってくれた。
眼を刺す光から、
身を刺す寒さから、
心を裂く悲しみから。
記憶のどこを探っても、そこにはいつも、あなたがいる。
いろんなことがあった。
そんな簡単な言葉では表しきれないほど、本当にいろんなことが。
けれど、今確かに感じること。
愛してる。
枢、あなたを、世界の何より。
愛しくて愛しくて、涙が出るほど。
特別な夜がくる。
「優姫」
愛しいひとの声がする。
あなたの手を取って、歩き出す。
月明かりが、白いふたりを優しく照らして。
唇に、指に、所有の証を。
もう二度と離さない。
きっと塵になる時すら、ふたりは一緒。