○story○

□persona/0
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雨が降り続く、春の日。

雲がどんよりと垂れ込め、誰もが憂鬱な気分になる。






―――もはや手に入らない物はない―――

世間ではそう噂されるほど成功し、権力も財産も地位も、その手中に収めた。

そんな彼でも、天気を意のままになどできるはずもなく。

彼を照らすは、唯一人。

愛した人の忘れ形見であり、家族と呼べる唯一の存在、

そして、何れはこの莫大な財産を継ぐ、後継者。



父の計画はまだ知らない幼き娘。

その笑顔はこの曇天でも変わらない。

それは太陽のように皆の心を照らす。





多忙を極める身を労る時間。

娘と過ごす時間。

彼にとって、本当に大切な。





ちょうど同じ時、屋敷の塀の外に、黒い影が蠢いた。

















突然、どこからともなく響く銃声。



屋敷に鳴り渡る非常事態のベルの音。






屋敷の至る所に配置されたガードマンやボディーガードが、当主とその娘の部屋に駆け込む。







そこにあったのは、

くまのぬいぐるみを抱き締め、壁に凭れて震える少女と、

絨毯に散った赤―――


















――――そして、倒れた当主の姿。











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