エリアラText
□夢に堕ちる
1ページ/2ページ
最後の日も、君の腕の中で夢に堕ちたい。
眠る一秒前などいつも覚えていなくて、幸せだったのかどうかもわからない。
きっと、君だけが知っているのだろう。
俺はその最後の瞬間まで見たくて我慢をするのだけど、そっと目をおおわれてそのあとは全く覚えてなどいない。
「ずるい、エリックは…」
「どこが?」
いつもの言葉遊び。
仕掛けては、俺は目を閉じる。
その声に身を委ねるため。
「全部」
「全部?」
声の波が俺をさらう。
何度でもさらわれて心地よくて、最後はおうむ返しになって意味など成さなくなる。
幸せの一歩手前で眠りに堕ちる。
羽根の柔らかさ、シーツの波のなかで俺はきっと最上の笑みを湛えているのだろう。
Fin.