セバシエText
□weak tea
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次第に緩やかに。
思考が下降していくのをかんじる。
シエルはトントンとペン先を書面にぶつけてからごろりと転がした。
群青のインクが白い繊維にこぼれて染みた。
眠気は飛んでいかない。
山積みの書類を右奥に追いやった。
紅茶が欲しいと思った。ベルを鳴らす。
眉根をつまんで強く揉むとすぐにドアをノックする音が聞こえた。
早すぎる。
シエルは思った。
あれほど人間らしく振る舞えと言ったのに関わらず・・・。
毒づいているうちに扉が開かれワゴンを押して執事が部屋に入ってきた。
茶器がカチャカチャと触れあう音がする。
「紅茶をご所望かと思い・・」
全く。
誰が教育したのだか。
ベルを鳴らすだけでシエルの欲しいものがわかるなど。
「はずれたらどうする?」
「しかし紅茶なのでしょう?」
ゆっくりと、確認するように言う。
「どうだか?」
そう言ってシエルは机に肘をついたまま横を向いた。
そんなシエルに微笑むと、セバスチャンは手際よく茶葉を計りティーポットに詰めた。
そこでシエルは気付く。
「おい、紅茶は今からいれるのか?」
続