long・(水+阿+巣)→栄
□秘密
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「脱げよ、上から順番に、一枚ずつ」
「ストリップでもしろっていうのか」
紅潮した頬は怒りのためなのか、羞恥のためなのか。
「あいつに知られたくないんだろ?」
ケータイを開いて見せる。
背番号7のユニホームに切なげに顔を埋めて、自身へと手を伸ばしている姿を見せられて、栄口は息を飲んだ。
「部の奴等に一斉送信してもいいんだぜ」
するわけないけど、そんなこと。
栄口のこんな顔、俺だけが知っていればいいんだ。
クソレになんか一生見せてやるもんか。
「お願い……やめて…」
強張った顔が脆く崩れて、泣き出す一歩前の顔を晒す。
この表情もきっと誰も知らない。
俺は満足感に浸りながら、今度はどんな顔を栄口から引きずり出してやろうかと考える。
「俺の言うとおりにしたら、誰にも教えねぇよ。ーー俺と栄口だけの秘密にしとく」
震える指でボタンを外していく涙目の栄口。
俺の感情のボタンはどこかでかけ違ってしまった。
俺がお前のことを、誰にも渡したくないほど愛おしく想っていることは、俺だけの秘密だ。
例え、お前に嫌われて憎まれても。