treasure(捧げもの)
□Game
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今日さぁ、練習試合の帰り、阿部と巣山と水谷と栄口でゲーセンに行ったんだ。
風呂上がり、わしゃわしゃと浜田のでっかい手で髪を拭かれながら、俺は今日あったことを話し始めた。
あー、西広と沖は本屋行くって言って、三橋と田島は腹減ったってハンバーガー食いに。花井は当然、二人のお目付け役。
ゲーセン入った瞬間から、水谷がずっと「栄口、プリクラ!プリクラ撮ろう」ってうるせーの。
「男同士でプリクラ撮るの?ちょっと変じゃない?」ってもっともなこと言う栄口に「だって俺、栄口の写真持ってないし〜」だとよ。
したら阿部が「栄口の写真で何するつもりだ、このクサレ」ってツッコんで。
あ、クサレってのは腐ったレフトの略な。俺はすぐピンときたけど、水谷はバカだから説明してやんねぇと分かんねぇんだよ。だから、親切な俺は説明してやったぜ、もちろん。
「腐ってないし、バカじゃないもん。阿部こそうたた寝している栄口をケータイで隠し撮りしてたじゃんかー」
「あ、あれは、……その、…そ、そうだ、栄口が涎垂らして寝てたから、後でからかってやろうとだなぁ…」
「嘘つき〜。にやけて時々見てるくせにぃ。阿部は変態なんだよ、さかえ……あれ、栄口は?」
阿部と水谷がいつもの漫才している間に、栄口は巣山に誘われてさっさとゲームしに行っちまったんだけどな。
巣山?ああ、あいつけっこう、ゲーム上手いよ。アクション系は特に。
俺が見たときも、栄口と組んでハイスコア叩き出してた。
水谷は阿部にミニゲーム10番勝負を申し込んでたけど、どっちが勝ったかは知らねー。
俺はあんまり金持ってなかったから、クレーンゲームを見て歩いてた。
ドライヤー?いいよ、めんどくさい。
は?キューティクルがどうしたって?
……あぁ、もう好きにしろよ。
熱くすんなよ。ただでさえ、お前暑苦しいんだから。
ブォーーっと生暖かい風に吹かれる。
浜田に髪を乾かしてもらうのは嫌いじゃない。楽だし気持ちいいし、積極的に好きと言ってもいいくらいだ。ーー言わねぇけど。
さらさらと浜田の手で髪を乾かされる間、ゲーセンでの出来事を思い出す。