treasure(捧げもの)
□柔らかな刺
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「栄口、辛いならガマンしなくていーから」
「やっ、…ぃ…じょ…ぶ」
腰の下に二つ折りにした枕を差し込まれ、露になったソコを解されていたときは羞恥に真っ赤になっていた栄口だが、
硬く猛ったモノを宛てがい腰を進めると痛みのあまり顔色を無くして血が滲むほど唇を噛み締めた。
そんな状態で『大丈夫』なんて言われても、信じられる訳がない。
時間をかけて広げたソコは充分に柔らかくなっていたはずだが、質量とか浸入する角度とかに問題があるのかもしれない。
なにせ最後までしたことなんて数回しかないし、その間隔だって随分と空いている。
つきあいだしたときから俺たちは何よりも野球を優先していたから、回数を重ねて体が慣れるなんてことには程遠く、
いつだって初めて受け入れたときと同じ負担を栄口は感じているはずだ。
ベッドマットなんてどーなってもいいから、栄口の言うことなんて聞かずにもっとローションを使えば良かった。
汗に濡れて額に張りついた短い前髪を指先で払ってやると潤んだ瞳で見上げてきた。
「今日は最後までシなくてもいいから、」
またにしよう、と腰を引くと嫌々と頭を振って、涙をポロポロと溢すから、俺までなんだか泣きそうになった。
愛し哀し、ってのはこういう感情を言うのだろうか。
「あべ……」
細く掠れた声が妙に色めいて、……前回栄口を抱いたとき、どんな声をあげてどんなふうに悦がったかが思い出されてズグリと自身の体積が増した。
――好きな相手を労る気持ちと思うまま動きたいという欲求は別物だ。
今日を逃したらいつまたこうして肌を重ねることができるのか分からないのなら、なおさら――。
「んン…!あ、べ……」
眉を寄せながら微かに微笑む栄口。
俺しか知らない清楚でいて淫靡な貌に体中の血が一点に集まる。
「さかえぐち……」
ごめんな、と心の中で呟く。
(きっと栄口は謝罪の言葉なんて欲しがらないから)
声に出しては「好きだ」とだけ告げて、俺は栄口の中に深く深く自身を埋めていった。
「ひぁ…あっ、あ…。……おれ…も、す、っき……」
「ん、力抜いて。そう…息吐いて……」
(お前が俺のことどれくらい好きかなんて知ってるから、そんなに必死になることないんだ)
――窮屈で熱い内壁を侵していく。まだきっと、栄口には痛いだけの行為。
「…っ、はぁ、」
早く悦くしてやりたくて、記憶と感覚を頼りに栄口の内部のイイところを探る。
(いつになったら、こいつは自分が俺の一番だと解るんだろう)
不安にさせてる自覚はあるが、好きだと囁いて体を繋ぐ以上に、何をどうしたら栄口が俺の愛情を確信して安らいでくれるのか解らない。
(確か…このへんに……)
「やぁっ、あぁ、そっ、」
「ココ、か」
グイっと腰を押し付けて見つけた場所を抉ってやった。
「やっ、ちが…っ、あぁ!」
ビクビクと跳ね上がる腰を掴んでダメとかやめてとか言う場所を存分に可愛がってやる。
あっと言うまに硬度も形も変えて勃ち上がった栄口自身からトロリと滴が溢れては張り詰めた幹を伝い落ちていく。
せめて今は。
俺も栄口も余計なことを考えずに、ただ互いの肉の熱さに溺れてもいいんじゃないか――?
抜けるギリギリまで後退して、引き留めるように絡む粘膜を堪能する。
栄口の体が緩んだところで一気に最奥を穿ち、また腰を引いて今度は浅いところでかき混ぜるように腰を動かす。
グチュグチュと濡れた音と官能的な栄口の喘ぎに煽られて俺は腰を前後に突き動かし、栄口を揺さぶった。
上手く想いが伝わらない苛立ちとか、強がりとかつまらない嫉妬だとかが全部溶けていく気がした――。
「ふぇっ、あっ、あんっ。あべぇ、すきぃ……。あべ、大すき…っんン!」
俺もだよ、と答える代わりに舌を絡め取るような口づけをすると、栄口の内部がきゅうぅっと締めつけてきて、危うく達してしまいそうになった。
* * *
このお話を*Prosperity* 杏里さまに相互記念として捧げます。
リクエストもお訊きせずにこんなものを書いてごめんなさい。
当初は甘いお話のつもりだったのですが……。うむむ(-_-;)
阿部に愛されてる自信が持てずにいる栄口くんと、栄口くんの信頼を得られずにいる阿部。
体を繋げることで何かが変わっていくのでしょうか?
ものすごく中途半端なお話ですが受け取ってください。お願いしますm(__)m
もっと修業を積みますので、末永くお付き合いくださいね!
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