short・巣栄


□君を飾る。
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「痛い、よ」

首と肩をの境目、ギリギリギ服に隠れるか隠れないところを吸い上げていたら、身を捩って逃げられた。

あーあ、とため息まじりの栄口の声。


「これ、絶対痕ついちゃったよ」

「所有印だから、痕に残らないと意味ないし」

「なんだよ、それ」


文句を言いながらも赤くなった耳が可愛くて仕方がない。



「せめてもっと見えないところにしろよ。誰かに見つかったらどーすんだよ」

「いや、悪い。見えないところにはもうついてる。これは牽制用だから」

「なっ」

「もっと目立つところにつけて見せつけてやりたい気もするけど」


ちゅっと、音をたててうなじにキスを落とす。


「んっ」

「他の奴らに見せてやるのもしゃくなんだよな」

「ひゃ」


はむ、とくわえた耳はいつもより熱い。


「栄口、焼けてないとこすごい白いから、朱が映えるんだよ」

「な、なに言って」


つっと、首筋を指で辿る。


「この綺麗なうなじにキスマークなんてつけて行ったら、破壊力ありすぎだろ」


あ、首まで赤くなった。


「も、しゃべるな」


恥ずかしすぎるよ、と小さな声。


「栄口、可愛い」

「………」




肩口に額を押しつけぐりぐりしてくるのは、抗議なのか。


だとしたらなんて甘い。



「さ、さっき、見えないところにはもう……って言った?」

「こことか、ここ、それから…この辺。痕まだ残ってるハズだけど?」



服の上から腰骨の下、内腿、とゆっくり撫で辿っていく。

栄口自身を掠めるようにすると甘い声とともに、ぎゅっとしがみつかれた。




栄口の内腿は白く滑らかで、しっとりと手のひらに吸い付くようで。

夢中で吸い上げいたら、いつの間にか鮮やかな赤い花がいくつも散っていた。

それはたった数日前のことなのに、俺はもう栄口の肌を飾るの特権を行使したくて堪らない。


栄口が俺だけに許してくれたことだから。





"せめて見えないところにしろよ。って、さっき言ってたよな"

"ーーってことは見えないところになら、つけてもいいんだよな?"



そう確認すると、栄口はブルブルと首を振ったけど。


自分の言葉には責任を持ってもらわないと。




さて、今日はその肌の何処を俺の独占欲で飾ろうか。



おとがいに手をかけ、深く口づけながら考えた。







…………………………

ちょっと意地悪な巣山。

部活もクラスも一緒なのにまだ栄口くんを独占したいよーです。

 



 

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