short・その他


□Second Kiss
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「なぁ、栄口ってさ、キスしたことある?」

「な、なんだよ、急に」


ちょいちょいと手招きされてベンチ裏に行くと、田島が無邪気な瞳で聞いてきた。


「なぁ、ある?ない?」

「……ある…か、な?」

「なんでハテナがついてんだよ」

「……幼稚園のとき、一回しただけだから」


うっ、なんか恥ずかしいぞ。


でも、ホントにその一回だけなんだ。

結婚式だーって、キスしたことは覚えてるけど、その子の顔も名前も覚えていない。

そんなのをカウントに入れるなんてイタくないか?


俺の気も知らずに田島は「ファーストキスは幼稚園のときかぁ」なんて言って、頭の後ろで腕を組んだ。


「意外とませてたんだなっ」


にかっと笑われて、カァーッと頬に血が上る。

もういいだろ、行くよって、言ったら腕を掴まれて、しゃがむように促された。


「田島、キスのこと聞きたいんなら、俺じゃなくて他の奴に聞けよ」


俺じゃ田島の好奇心を満足させることができない。

(かといって、他の誰がキスの経験が豊富かは知らないけど)


「他の奴のことなんてキョーミない。知りたいのは栄口のことだけだ」


真剣な眼差しにドキンとする。


お前、その顔心臓に悪いぞ。


ーーヤバいくらい、カッコいい。


そう思った自分にびっくりしてたら



「二度目のキスは俺にちょーだい」



って、顔が近づいてきて、目をつぶる間もなくキスされてた。


「た、……じまっ!」


驚きに胸を押すと離れて行った唇。


「……嫌だった?」



田島には似合わない、気弱な瞳。


そんな泣きそうな顔すんなよ。


……大輪のヒマワリみたいに笑う田島が好きなのに……。


そう思ったことにまたびっくりして、首をぶんぶんと横に振った。



「やっ、嫌ではなかった……け…ど」

「けど、何?」


力を取り戻した瞳に見据えられて、クラクラするのはきっと首を振りすぎたせいだ。

そうだ、そうに違いない。


「えっと、びっくりして……」


田島のキスもだけど、自分の思ったことにも、だ。

栄口、俺がキスしても嫌じゃないんだ、って呟いた田島が嬉しそうに笑う。


「じゃ、もう一回すっけど、もうびっくりすんなよ!」


って、いきなり舌入れられたら、びっくりするだろ、ふつー。


「ふっ、ん…ぁ」


胸を押したら今度はますます激しく舌を絡めてこられて、俺はもうどうしたいいのか分からなくなって、体の力を抜いて田島のなすがままに、キスを受け入れた。


「あふ、んンっ」


十分過ぎるほど時間をかけたキスをして、田島の唇が離れていった。

口の端に垂れた唾液を慌てて拭う。


「っすげぇ、エロい……栄口。声も、顔も…想像してたよりずっとクる」

「なっ……」


エロいとか想像してたとか、なんだよ、それは。

さすがに怒ってやろうとしたら、田島にぎゅっと手を握られた。



「好きだ、栄口。これからずっと栄口とキスしたい」







ヒマワリどころじゃない、

太陽みたいな笑顔を見せられて、





俺のキスは二度目から全部、







田島のものになった。








* * *

でも、栄口くんは田島のファーストキスからぜーんぶ自分のものにしているんだよ〜。

田栄って、水栄とはまた違った可愛さがあって好き(^o^)






 

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