short・水栄
□君は僕の輝ける星
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熱帯夜
今夜も君と目があった。
――眠れない。
夏の合宿は三日目。
相変わらずの雑魚寝にも慣れて、練習の疲れもあって、みんなグッスリ眠っている。
俺も目を閉じて眠ろうとするけれど、思い浮かぶのは数時間前に見た栄口のことばかり。
風呂あがりの上気した頬。
ジュース飲むために反らされた喉と、濡れた唇。
髪の毛から滴たり落ちて、首筋をゆっくりと伝う雫。
日に焼けていない白い背中。
バスタオルを巻いただけの無防備な細い腰……。
すんなりと伸びたしなやかな脚。
視線に気づいた栄口に「飲む?」と屈託なくペットボトルを差し出されて、俺はブンブンと首を横に振った。
間接キスとか思っただけで、心臓がスゴい速さで脈打って、息が苦しいくらいだった。
ペットボトルを握る指先の短く整えられた桜色の爪。
鎖骨の窪みに溜まった透明な水。
なにもかもが綺麗で、優しい茶色の瞳は、俺の邪な想いなど知らずに笑っていた。
たまらずに目を開けると、わずかな光の中、隣の布団で横になっている栄口と目が合った――。
体温が上がっていく気がする。
眠れない、熱帯夜――。