short・水栄
□Distance
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遠く離れていれば、
忘れることができるんじゃないかなんて、
そんなの無理な話だった。
卒業して栄口と離ればなれになって、
想いは薄れるどころか、
募るばかりで。
「メールするね」
「電話もする」
「手紙も書くから」
だから、栄口も連絡ちょうだいって言えなくて、
俺だけが必死で繰り返した言葉。
「うん。でも、無理しないでいいよ。……お互いに新しい生活に慣れるまで大変だろうから」
優しく笑って、約束することを拒んだ栄口は、俺と疎遠になることを望んでいたの?
忘れたいと思いながら、繋がりを求めずにいられないのは、君が好きだから。