short・水栄
□Second Kiss
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頬杖ついて部誌を書いてる栄口は伏せた睫毛のせいか、いつもより大人びて見える。
次に何を書こうかとシャープペンを持った手が止まったとき、
「キスしたら怒る?」
思わずこぼれた言葉。
慌てて口を押さえても、もう取り消せない。
ゆっくりと顔を上げた栄口と目が合って、鼓動が跳ねる。
「怒るよ」
「っ、…」
泣きそうになった俺の頬に触れる栄口の優しい指先。
「こないだみたいに、した後で謝ったりしたら」
他に言うことがあったんじゃないの?って、聞いてくれる栄口の笑顔に勇気を振り絞る。
「お、俺、さ、栄口が好き…っ」
みっともないくらい声が上擦った。
クスっと笑った栄口は今まで見たことないくらいの可愛さで、
俺の心臓は限界マックスの速さで全身に血液を送り出す。
なのに、
「よく言えました。俺もだよ」って、キスされて……もう死んじゃうかと思ったよ。
…………………………
ヘタレな水谷と男前の栄口くん、のつもり。
(水谷、キスの前に告白しろよ)