short・ 阿栄
□Heven's bed
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栄口のベットは気持ちがいい。
いや、栄口と一緒に寝るから気持ちいいのか。
合宿所の見事なまでの煎餅布団も栄口と一緒なら羽布団の寝心地だった。
いや、待てよ。
寝心地がいいっていうか、抱き心地のいいってのか、ーー栄口の躯の。
「阿部ぇ、俺を抱き枕にするのやめてよ」
やめろ、と言いながら、どこか甘えを感じさせる栄口の声に背後から腹に回した腕の力を込める。
ついでに耳の後ろに鼻を埋めて、やわらかい茶色の髪の匂いを嗅ぐと「それ,くすぐったいって」と身を捩って訴えてきたんで、俺はますます躯を密着させて、ぎゅうううっと細い躯を抱き絞めてやった。
「お前の躯、冷たくて気持ちい」
耳朶に唇を触れさせて答えると、鼻にかかった高い声で可愛いらしく鳴いた。
こんな抱き枕なら手離せなくて当然だろ?
綺麗なうなじを唇で辿るとピクンと反応を返し、滑らかな肌が薄紅に染まっていく……。
パジャマ替わりのゆったりとしたTシャツの裾からそろそろと手を差し入れると、しっとりした肌が吸い付くようだった。
肌触りを楽しみながらゆっくりと脇腹を撫で上げ、指先で小さな胸の突起を愛撫する。
「たかや…っ、」
背中を向けたまま、モゾっと膝と膝を擦り合わせた栄口にほとんど吐息だけで呼ばれ、至福の時間を約束するように口づけたーー。
* * *
サイト一周年記念のアンケの結果、一番ポイントの多かった阿栄で甘いお話……を書こうとしたんですが、阿部の独り語りになってしまいました(^^;
そのうえ、短くて申し訳ありません。
阿部と一緒に可愛くて艶っぽい栄口くんを愛でていただけたら幸いです。
2012.05.01 感謝をこめて、百花
よろしければ、もう一つの一周年記念のお話。Heven's roomもどうぞ。
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