long・(水+阿+巣)→栄


□秘密
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震える指をなんとか動かして、着替えたばかりのシャツのボタンを外す。

ファサッと足元にシャツを落とすと、覚悟を決めて下に着ていたTシャツの裾を掴んで一気に脱いだ。

ブルッと躯が震えたのは外気のせいなのか、阿部の視線のせいなのか。


このくらい…っ…。


一緒に風呂に入ったことだってあるのに。


きちんと服を着ている人間の前で、自分の意志に反して脱ぐことが、こんなにも羞恥と屈辱を感じさせることだなんて。

躯の表面を辿る視線に、内部まで見透かされているようだ……。


阿部の視線が俺の顔とベルトを往復する。


下も脱げ、ってことなんだろう。


俺は唇を噛んで、ベルトのバックルに手をかけた。カチャカチャと金属音がやけに大きく聞こえる。ズボンのボタンを外して、ファスナーを下ろす。


くそっ。


俺の脱ぐとこなんか見てなにが面白いんだよ。


いつもは意識していない行為を、俺はギクシャクと続ける。

ズボンから右足を抜こうとして、バランスを崩してよろめいた。


「おっと……」


伸びてきた阿部の手に支えられる。


素肌に触れたその手の熱さに、

ギクリと顔を上げれば、


獲物を捉えた肉食獣のような阿部の目が、


俺を見ていた。




 
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