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□君が大人になる前に 2
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ゆーと先生の白い首筋に顔を埋める。
いつもの清潔感のある、それでいて甘い香りと違う、俺の知らないーー大人の社会の匂いがした。
「ンだよ。……こんな匂いさせてんなよ」
苛立ちをぶつけるように強く薄い皮膚を吸い上げる。
「つ、……いた……みず、たに」
痕つけないで、なんて台詞を言われる前に唇を塞いだ。
「……んっ」
無理やり舌を捩じ込む。漏れる吐息はやっぱり酒の匂いがして、俺は荒々しく舌を絡めて、ゆーと先生を貪った。
『お酒は二十歳になってから』
俺が二十歳になるまで、あと三年。
今のゆーと先生の歳に追いつくまで、更に2年。
どうしたって、埋まらない。
俺とゆーと先生との5年の歳の差。
俺があと三年早く生まれてきたら、一緒に酒を飲んで、1学期間お疲れさまって、労ってあげられたのか。
「っくしょう」
唇を離すと、名残惜しげに二人の間で唾液の糸が引かれた。
俺を見上げるゆーと先生の潤んだ瞳。
「ふみ…き」
細い指先が俺の頬に触れてーー、
「怒ってる…の?」
茶色の瞳から盛り上がった涙の滴が、頬をこぼれ落ちた。