short・水栄
□紫陽花の君
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日曜日、朝のうちは降っていた雨は水谷が迎えにくる頃には止んでいた。
「なんでぇ〜。俺と栄口のラブラブ相合傘デートがぁ」
って、ぐだぐだ言ってる水谷。
なんだよ、その恥ずかしいネーミングは。
「うーん、けどまた降り出しそうだから傘は持って行こう。あ、栄口の傘は置いていって、俺のがあるから」
「その傘に二人じゃ濡れるだろ」
「濡れたら二人で一緒にシャワー浴びよう」
「……俺、出かける止めようかな」
「あ、ごめん。ウソウソ。冗談だよ〜」って慌てる水谷に「降りださないうちに行こう」って言って、手にしてた傘を傘立てに戻すと嬉しそうに笑ってくっついてきた。
「えへへ〜、雨降ったら俺にまかせてね!」
「分かったって」
水谷は笑顔は雲間から届く一条の光みたいに、俺の心を真っ直ぐに射すから敵わない。