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□釣り
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あさがおの前に広がっている、酷く澄んだ青い海を浜崎が一人眺めていた。

魚が泳いでいるのを見つけた浜崎は、冴島と釣りでもするかと思いたった。

あさがおの方へ歩いていくなら冴島が子供と遊んでいる。

これは話しかけねぇ方がいいかもな……。

内心残念に思いながら、冴島の横を通り縁側に腰かけた。

すると冴島が子供に何か言ってから、浜崎の隣に座った。

「…遊ぶのやめたのか?」

「ん?あぁ、さすがに子供の体力にはついていかれへんわ。俺もええ親父になってしもた。」

冴島は額に流れる汗を拭いながら、浜崎に視線をやった。

「そういやぁ兄弟、浜辺で何しとったんや?」

「あぁ、……眺めてただけだ。やっぱ東京の海とは丸っきり違うな。」

「そやなぁ。魚もぎょうさんおる。」

「…………釣りでも行くか?」

冴島が口角を上げて笑う。

「お!ええなぁ!なら桐生はんに釣り道具借りてくるわ。」

「おぅ。ありが…」

「おじさ〜〜〜〜〜ん」

浜崎の言葉を遮る様に、遥がバタバタと走ってくる。

「ん…なんや、どないした?」

「あのね、プリン買って来たから皆で一緒に食べようよ!」

遥が冴島の腕に抱きつく。

浜崎は肩を落とす。

『またか……。』

浜崎が冴島と何処かに出かけようとすると、遥が邪魔するように割り込んで来た事が、今まで何回かあった。

冴島が優しい笑顔で遥の頭を撫でる(子供の相手してる冴島を見るのは好きなんだがな…)

「う〜ん…そやなぁ…浜崎、どないする?一緒に食べるか?」

「…あ、あぁそうだ…」

また浜崎は言葉を中断する。

遥がジトーと浜崎を睨んでいたからだ。

浜崎は、はぁ…とため息を吐くと冴島に笑いかけた。

「いや、俺はいい。あんまり甘いのは好きじゃなくて、な。」

冴島は「ほうか?」と首を傾げる仕草をする。

それがカワイくて、浜崎はニヤけるのを我慢しながら釣りは一人でしようと歩き出す。

「なら、俺もええわ。おおきにな遥ちゃん。」

冴島が遥にそう告げて、自分の後ろを追いかけてきた。

浜崎は眉間に皺を寄せる。

「別に俺に気をつかわなくていいぜ?食ってこいよ。」

「いや、ええ。それに、気ぃなんてつこうてないわ。」

冴島はそう言ったが、いつも側にいてくれている事を浜崎は知っていた。

口に出すのは照れくさいから、浜崎は心の中でありがとよ、と呟いた。
それに続いて、遥という敵にはかなわねぇなと呟いた浜崎だった。






終わり。



*遥ちゃん怖ぇぇ(^Д^)www
遥ちゃんはドSであると信じてます!www
そんで浜崎が大嫌いだと!www

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