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□生クリーム
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「おい。」

縁側に座っていた冴島と浜崎の背後から、桐生が近づく。

「これ、二人で食べてくれ。」

そう言って桐生が差し出したのは、白い皿に乗っている小さいしゃれたシュークリーム。

「おおきにな。ありがたくいただくわ。」

「ありがとよ、桐生。」

「あぁ。」

桐生が身を翻し、部屋の中へと消えていった。

早速二人は、律義に皿に乗せてあったシュークリームを手に取る。

冴島が一口食べてから、うまいなぁと唸った。

浜崎もそれに続いて一口、二口と食べる。

「…………生クリーム多いな…これ……」

甘ったるい生クリームが舌を侵食する。

二口食べただけなのに、気持ち悪くなる浜崎。

「兄弟は甘いの苦手か?」

「いや、食べるけどよ。これ、生クリーム多くねぇか?」

「ほうか?」

冴島は自分のを一気に口にいれてもごもごした後、喉にながした。

浜崎はその様子を見て、思わず笑う。

「何笑っとんじゃ。」

「いや、何でもねぇよ。」

「なんやねん。けったいなやっちゃな。」

浜崎は笑いながら、悪ぃ悪ぃと謝り、自分のシュークリームを冴島に渡した。

「俺の分、食べてくれねぇか?気持ち悪くなっちまって………食べ掛けだけどよ。」

「おぉ、ええで。」

冴島はそれを受け取ると、何故か上のシューの部分を取り、口に放り投げた。

口を動かしながら、クリームを指で取る。

変な食い方すんな……。

浜崎はそう思いながらも、冴島が食べている様子を観察する。

冴島は指ですくったクリームを舐めている。

なぜかその動作に心臓が跳ねる浜崎。

「……甘ったるいな…」

クリームを舐めながら、冴島が呟く。

浜崎は心の中で舌打ちすると、冴島の後頭部に手をまわし顔をグッと近づける。

「………っき…兄弟…?」

浜崎が冴島の唇を舐めるなら、冴島の身体が一瞬にして強ばった。

「………やっぱ、甘ぇな。」

そう言って浜崎は何事も無かったかの様に、ポケットから煙草を取り出し立ち上がった。

冴島は数秒フリーズしていたがばっ!と浜崎の後ろ姿を見て、みるみる顔を赤くした。

兄弟、と言いかけた冴島は自分の手の中にあるシュークリームを一気に口にいれて下を向き、口を動かしながら、なぜ浜崎が自分の口を舐めたのかを考えるのであった。









桐生(なんだよ…この甘い空気は…!!)
二人に飲み物を持って行こうとした桐生は、深いため息をついた。














終わり。


*シュークリーム食べてる冴島を想像…いや妄想をしたら激しく萌えたので(笑)
ちなみにこの小説にでてくるシュークリームは、クリームの上にシューが乗っかってる感じのです(わかりづれぇぇwww)

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