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□哀を覆す愛
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「じゃあな、伊達さん。」

桐生は屈託のない笑顔で、俺にそう言った。

桐生との別れなんて、何回目か分からない。

こんなの慣れたはずだろ、なんて心で呟く。

「伊達さんも、沖縄の方にも遊びに来てくれ。」

「けっ…行けるわけねぇだろ?こっちだって暇じゃ無ぇんだからよ。」

「ふっ……。」

優しく微笑んだ桐生は、腕時計に視線を落とし、またこっちを見た。

「…そろそろ……行くな。」

「あぁ。」

桐生はこちらに背を向けて、歩を進め始める。

俺も後ろを向いて歩を進める。

振り返ったら、こっちの負け。

女々しいだろ。

そんなの。

一つため息はいて、ポケットに手をいれる。

タバコを取り出して、火をつける。

紫煙を吐き出すと同時に後ろから声が聞こえてくる。

「伊達さん!!」

歩を止める。

こっちに走ってくる足音。

俺は振り返らない。

後ろから抱きしめられる。

「…これすんの忘れてた。」

「バカが。全く、なんのドラマだ。」

「…………伊達さん。」

「あぁもう分かったから、離しやがれ!!」

「ふっ……愛してるぜ。伊達さん。」

「分かってる。もう行け。」

「あぁ。……じゃあな。」

また遠ざかっていく足音。

そうだよな。

お前の愛なんて痛いくらい思い知られてんだよな。
















それは

哀を覆す愛。















揺るがない愛。






end




*あとがき

桐伊むずかしい/(^p^)\
大人の恋愛って書けないよ…!むずかしいなぁ…………
精進します!!

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