Inside

□その目には白黒しか映らない
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「あたしは総てを浄化する」

白い戦闘服に、鮮やかな虹色のプリーツスカート。
胸には、水晶のように輝く球体のブローチ。
背負うのは純白のマント。
そして手には、背丈ほどに長い杖。
月のように輝く銀色の髪を靡かせ微笑む、蒼い目の乙女。
彼女が、宇宙を守護する銀水晶を持つ最強のセーラー戦士。
その彼女が、決して誰も入れるはずもない"女王の空間"に前触れの無く現れた所で、
女王は驚きやしなかった。
逆にただ溜め息をし、
「………それが貴方の答えなのですね。セーラーコスモス」
そう呟いた。
「やだなぁ」
戦士はうっすらと笑い、女王の額を人差し指でつついた。
ちょうど、月の一族の証である三日月の位置。
「あたしはクイーンセレニティに言っているんじゃないよ?『ちびうさ』に言ってるの」
そこにかつての女王の姿は無く。
かと言って、かつての母の姿もない。
存在するのは、20世紀で共にあった時の、
普通の少女だった頃の彼女だった。
それが女王には酷く悲しく、同時に酷く懐かしい事で。
一旦息を吸うと、その赤い目をゆっくりと瞼の奥へ閉じる。
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