Outside

□I WANT....
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未だ、信じることが出来ない。
あの小さかったほたるが今では自分と同じ視線で向き合っていることに。




【I WANT...】




「いつまでもはぐらかさないで!」
ずいっ、と顔を寄せるほたるに、せつなは我に帰った。
その顔も、幾分か幼さが残るもののすでに大人の顔である。
「私、もう高校生なんだよ?この気持ち、嘘じゃない。私はせつなさんの事が好きなの!」
まだ子供だから、と残酷な言葉で今まで退けてきた告白も、彼女の自我そのものが形成されるにつれて通用しなくなっていた。
「ですがほたる……私も貴女も同じ同性なのですよ。これが何を意味するかはわかりますか?」
「『世間の目すらを乗り越えてでもこの気持ちを持てるか』でしょう」
それも、以前せつなが言った言葉である。
「覚悟はあるわ」
真摯に見つめるほたるの瞳は、深い黒紫の色。
意識そのものを吸い込んでしまわれそうな錯覚を覚え、せつなは慌てて目を逸らした。
自分らしくもないな、と思う。
冷静を装いながら、心のなかではどうすればいいのかわからないまま。
永く生きてきた記憶も、このような事態には役に立てないようだ。
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