Outside

□お嬢様の策略
1ページ/7ページ



「チェックメイト」
「なっ…………!」

勝負は決まった。
みちるはにやりと笑った。
普段チェスで負けることのなかったせつなは、盤を見て愕然とする。
どう見ても、何回見ても負けている。
だが、やはり彼女には信じられない事態だ。
「ズルなんかしてなくてよ?フフッ」
「な、なんて事……」
「負けをお認めになったらどうかしらせつな?」
普段あまり感情を出さないせつなが明らかにショックを受けている事が分かる。
「くっ……負けました………」
「はい」
満足気に微笑むみちる。
負けず嫌いの彼女。
この日のためにチェスの本を買い込んだり、
内部戦士の水野亜美のところに駆け込んで特訓していたなんて事は死んでも言えない。
そこまでしてみちるが勝ちたかった理由とは………。

「約束は覚えてるわよね?」
「………勝ったほうが負けたほうの言うことを聞く、というあれですか」
「そう。じゃあさっそく聞いてもらおうかしら?」
みちるは意味深な言葉を残しながら席を立った。
その背を見送りながら、せつなは不安な気持ちにかられる。

そもそもせつなは、この戦いに負ける気がしなかった。
そのため、誘いを受けた時も、自分が負けてしまう時の事など考えておらず、
適当にその日一日の家事をしてもらおうと考えていたのだ。
それなのにこの事態。

いまさらながら、せつなは恐怖を感じた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ