Outside

□お嬢様の策略
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しばらくして、みちるがリビングへと戻ってきた。
手に謎の物体を持って。
それは、最近せつなもメディアでよく見かけるものだ。
こんなものが流行る21世紀はよくわからないな、と軽く考えていたのだが……。

「み、みちる?それは」
「知り合いに貰ったの。メイド服よ」

にこり、と擬音がするくらいにさわやかな笑みを浮かべたみちるに、せつなはくらりと目眩を感じる。
みちるが何を望んでいるのか、思わず分かってしまったからだ。
「着ろなんて言いませんよね?」
「よくわかったわねせつな。さぁ」
「さぁ、じゃないです。私は嫌ですからね、絶対」
メイド――給仕係というやつだろうか。
テレビで見たのは、こんな服を着た少女達がちょっと変な雰囲気を醸し出した男性達に笑顔で『おかえりなさいませご主人さま』なんて言っていた場面だった。
仮にも外部太陽系の戦士である自分がこんな真似をするなんて許せるものがない。
「あらあら、さっき負けたのはどちらかしら?」
「うっ」
「はい、わかったら着替えてきて頂戴」
無理矢理に服を押しつけられ、リビングを追い出される。
部屋の前まで来ると、みちるはドアの前に立った。
「せつなが着替えおわるまでここからは出さなくってよ」
「みちる、正気ですか?本気でこれを着なければならないのですか?」
「私、嘘は付かないの。ごめんなさいね」

バタン、



扉は閉められた。
見慣れた自分の部屋。だが、この時ばかりは冥界に流された気分だった。

「着替える……しかないのですか」
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