今日も綺麗な顔をしてるな、と思う
この顔の前ではブラック家の嫡男という肩書きさえ薄れてしまう
何をしても絵になるというのは彼を置いて他にはいないのではないだろうか


「――ス、―リーマス!」


どれだけ意識が遠くなっていたのか、
ずっと見つめていたはずの顔が目の前まで来ていることに気づかなかった僕は彼の大きな声でやっと我に返った。


「何なんだよ、さっきからずっと俺のこと睨んで」

「え?」


睨んでいるつもりはなかったのだが、彼にはそう見えたらしい。


「睨んでたんじゃないよ、ただボーっとしちゃっただけ」

「そうかー?のわりにはずっと俺のこと見てたぞ」


君の顔を見て感心していたなんて言えるわけもなく、僕は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「無意識に見てたんだね、気を悪くしたなら謝るよ」


そう答えれば、何故か彼は頬を染めて後頭部を掻きながら顔を逸らした。
彼が照れ隠しの時にするしぐさだ。


「べ、別に…気悪くなんてなってねえけど」


けど僕には何故彼が照れているのか分からない。
変な反応をする彼が不思議で首を傾げていると、彼は苦し紛れに咳を一つして僕を覗き込んだ。


「ボーっとしてたって、具合でも悪いんじゃないのか?」


僕の額にペタリと手をつけて自分の額と比べる様子に、僕は思わず思ったことを口にしてしまった。


「シリウスってかっこいいよね」








「…は!?」


一気に真っ赤になったシリウスの熱い手が勢いよく離されて、
名残惜しく感じたことに気づいた僕は、自分の顔もみるみるうちに熱くなっていくのが分かって、




「いちゃつくのやめてくれない?」




というジェームズの不機嫌な言葉に、さらに二人して何も言えなくなってしまったのだった。









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