04*09

□痩せすぎも考えモンだ。
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わらわらと生徒会室に群ができた。そしてそのどれもが俺の恋人、青空颯斗に対しての言葉を口から出していた。
なんでこんなことになったのか。
そう思って俺はぼんやりと思考に集中する。

 「寮の部屋が水浸しになりました。」
そんな風に言った颯斗も水に髪をぬらしていた。けれど服だけ普通にかわいて…というよりいつもの颯斗の着るような服は着てないがそのかわりにヒラヒラとした丈の長い白いYシャツにショートパンツにハイソックスという女の子見たいな服を着ていた。そんな颯斗の後ろにえへっとか言いながら夜久がでてきた。
「颯斗君がねっ!!服がないから貸してくださいって言ったから着せ返してあげたんです!!!」
「なんで、夜久に借りたんだ?男に借りたらいいだろう?翼なら…アイツは大きいにせよ、たしか颯斗、おーしろーと身長同じくらいだったろ?アイツ、服は別段悪くないぞ。趣味が。」そんなことを言いながら俺自身、(借りないでくれてありがとう)と感謝していたのだが。だが、その服はなぜか露出が多い。ハイソックスは履いてるにせよ、夜久のだからだろう。普通なら太腿まで来るはずが膝に到達するかしないかでとどまっていた。まあ、そこはいい。置いておこう。だが!だがなぜ!季節は春になろうとするが外気はまだ結構寒いのになぜタンクトップなのだ!細くて白い肌が丸出しではないか!!まずい。理性がもたん…。
「白銀先輩は試しに着ると…」
と言って颯斗は目を伏せる。男にしては長い睫毛がさわと揺れる。なぜこうもコイツは理性を壊そうとするのか。俺は不思議でならない。すると夜久が(別にそういうわけじゃないが)助け舟を出してくれた。
「無茶苦茶ブカブカになっちゃったんです。身長はあってるけど体格が全然違うみたいで。」
「うそ!マジ!?じゃあ…翼の場合は?背が駄目でも細いぞ!!」
「…背の大きさは別段変わらなくなりましたからいいんですが…」
なんだ。まだこの年で伸びるのか。お前はなんだ、葉緑素が身体中を駆け巡ってるとかそんなんか?俺は縮む一方なんだが。
そんな思惑を広げていると、颯斗の後ろからひょっりと翼が出てきた。なんだなんだ。叩いていいのか?モグラならぬ翼叩きか?
「それがなー。ぬいぬいー。そらそら、春より痩せたんだぬー。おーしろーよりブカブカー。」そんな風に颯斗に寄りかかりながらぬーぬー言ってる翼の言葉に俺は驚く。オイオイ。颯斗はもとが細いんだぞ。どうすんだ。会った時から折れそうなやつだ。って思ってたのに。もっと折れやすくなってるだなんて
「だからー…夜久か?」
「いえ…まだ、まず宮地君に…。」
ああ。宮地なら俺と同じ身長だし…いけるんじゃ…と思った俺は甘かった。そうだ。コイツは…するとどこから出たのか宮地が「俺のだと…ブカブカだったんです。」「…。」颯斗は一体何`痩せたんだ?「で?次は?」「僕です。」と言って俺の質問にしっかりと答えてくれた翼の従兄弟のー…
「いやいやいやいや!!!無理だろ!!!おま!!木ノ瀬は!!身長じゃOUTだろ。夜久よりかはでかいが…?」あれ?じゃあなんで颯斗今…
「ええ。一応、青空先輩は入ったんですが…僕の持ってる服、意外とピッタリ張り付く感じなんで…」俺は少し想像した。小さい木ノ瀬サイズの服に…しかもピチピチ…
見事、俺は飲んでいた茶を噴出した。いかん!!想像するな!俺!!
「ええ…。案の定。エロかったです。」
「…。」
みんなが赤面してる。一体どんなだったんだ。じゃあ…あと残るは…
「誉は…?」
「天羽君でOUTだったから僕も駄目。凄くブカブカだったよ。」
「そんな時に俺らが通りかかったんですよ!!」
そんな風に言うどこから湧いて出てきたのか。七海と東月、土萌が立っていた。ああ。こいつらなら入るだろうな。すると…「それなのに!!俺の服は!!!ちゃらちゃらしてて駄目だぞー!!って天羽が言って!!!」「だってぬいぬいー。そらそらが金属一杯なんてやだぬー!!」「まあまあ、二人とも…」そんなケンカみたいな感じの馬鹿二人をなだめたのは勿論東月で。今度こそ。と期待で胸いっぱいになるが…。
「それが…俺の服…全部洗濯籠いきだったもので。」
オイ。それはないだろ。なんだ、その悲しい現実は。すると土萌が出てきて「僕のも試したけど彼、ズボンがOUTで…」「ズボンがOUT?」「太腿から腰あたりにかけてサイズが全然合わなくて…」「颯斗ぉ…。お前普段何食ってんの?」「だから錫也が怒って…。そうこうしてるうちに…」
「俺らの登場ってわけだ!!!」
いきなりなんだ。と思うほど大きい声が響く。(…アレ?声はするけど…)
「ここだ!!不知火!!上じゃない!下だ!」
上に泳がしていた視線を下に向けるとヘヘンと笑う直獅先生がいた。
「いや…先生…無理じゃん。そんなん。入んないって。」すぐそう否定する俺に直獅先生はギャーギャー怒る。そんな先生をハイハイ。と言って宥めるのは水嶋先生。そこで状況説明を始めようとする星月先生が一歩前に出た。
「いや…一応、直獅のは入ったんだが…みんなが梓のときより酷い!!って言うから…急いで郁のYシャツを貸して…そしたら、かなりブカブカで。俺が使ってないシャツとズボンを貸したら…やっぱりブカブカだった。だけど、意外にもYシャツは上手くいった。横はブカブカだったが…腰にベルトをつけることで大丈夫になった。」「…。」
ああ。だからYシャツは普通なんだ。と俺は少し納得した。
「そんで、結局ズボンは夜久のが一番あったと…」すると颯斗はコクンとうなづく。そんな颯斗に俺は近寄り、
「もう少し…食う努力をしような。」と言うのだった。

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