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□炭酸飲料はいかがでしょう?
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「ガラガンッ」

校内にある自動販売機でコーラを買って俺は一人、つぶやいた。
「久しぶりに体育館裏にきたな。」
そう、ここは体育館裏。
ハッキリ言って誰も通らないようなところだ。寧ろ通ってる人間がいるのを見たことがない。


「そーだね。よくココでやったよね。琥太兄ぃ。」

ボソと呟いた独り言のはずなのに、なぜか返事が返ってきてしまった。俺が振り向くと、青色が俺の視界を埋め尽くした。
「誤解されるようなことを言うなよ、郁。」

「へぇーふうん。琥太兄ぃはそういうプレイを僕としたいんだぁ。」

嫌らしい目つきでこちらを見やる郁は気持ち悪いほどに引きつった笑いを顔面一杯に張り付かせていた。

ー見なかったことにするか。−

逃避を試みた俺だったが即、郁の言葉攻撃により束縛される。
「ねえ?琥太兄ぃ、暇ならここで僕と、しようよ。久しぶりに。本当は僕としたい癖して琥太兄ぃは素直じゃないよね。」

「俺は郁とやりたいんじゃない。」

…。

緑と青の間にしばしの沈黙が流れた。

やってしまった。と後悔だけが俺の心を埋めた。ここで郁が間髪入れずに、じゃあ、誰とやりたいの?なんて言われてしまえば俺は暫くの間、立ち直れなさそうである。
「じゃあ…さ。」
いかん。郁が口を開いてしまった。
俺が暫く動けなくなる原因を今ここで郁が作ってしまう…。
「あのー…。」
と思っていた。
が、見事それを打ち砕いてくれた人物が出現しー…
「不…知火。」
「君。何してるの?」

「…俺はただ颯斗がここにいるって視たんで。ココに来たんすけど。先生たちは?」

「僕は君と同じ意見で、琥太兄ぃも…だよね?」
突然の話の振られように俺は驚きながらも一応答える。
「あ、ああ。俺もだ。」
「そっか。じゃあ一緒に颯斗に会いに行きません?先生達もどうせ、ソレ目当てだろ?」

不知火は鋭い目つきで俺の持っているコーラに目をやる。

流石といったところか。
不知火はなかなかキレものらしい。

「ふうん。君もってことは君もなんだ。」

「そうすよ。もう一本いりますかね?」

少し迷って郁が頷く。

「そうだね。でも味の違うほうがいいんじゃない?颯斗君もそっちのほうがいいだろうし。」

郁がこっちを見てニッと笑った。

嫌な笑みだった。

「それも…そうだな。」



颯斗はちゃんと指示通りに体育館裏に時間ピッタリに来ていた。
俺らの姿を見るとズボンを抑えながら颯斗がこちらを向く。
「あ、先生…?会長と…水嶋先生?」
「よ、颯斗。」
「あ、どうも。…あの、なんで、僕はこんなところに?」
「説明は後だよ。」
手っ取り早く郁が颯斗の言葉をさえぎる。
そんな様子に颯斗は特に気にした様子もなくぼんやりとしていた。
「?…でも、あの、これだけは聞かせてくれませんか?なんで僕はこんな服を着てなくてはならないんですか?」
颯斗の疑問は最もだった。
なぜなら颯斗の服はいつもの制服ではなく、ぶかぶかの俺のYシャツとゆるゆるの郁のズボンだったからだ。
「大丈夫。今わかるよ。ねぇ颯斗君。このコーラを振るとさ、どうなるかわかる?」
俺の持っていたコーラを奪い、郁が嫌らしい作り笑いを顔面に貼り付け聞いている。
質問の意図がわからないのであろう、颯斗は美しい顔をしかめ、首をかしげながら答える。
「?ええと。あけたら危ないですね。」
「そうだね。」
そして郁は颯斗の言ったことを肯定したが、全く否定的な行為をとった。
「シャカシャカシャカ!!!!」
「どっどうしたんです!?なんでそんなこっ!!!」
颯斗が慌てて止めにかかろうと手を伸ばした瞬間、不知火が素早い動作でその動きを封じた。颯斗はあまりの速さと訳の解らなさに言葉を失ってしまった。普段ならしないような驚いた表情を隠さず顔に出している。
そんな驚きの表情がイキナリ苦痛と痛みによってゆがむ。
当たり前だ。誰しもムチでいきなり縛られたら痛さに顔をしかめるどころか悲鳴を上げるだろう。

「あ…イッ…んあ」

キリキリしまっていくムチは颯斗のズボンの秘部を締め付けていく。

「ぁ…いた…ぁい…、や、あん」
颯斗の頬に、だんだんとこみ上げてくる涙が流れるのが俺には瞬間的に分かった。

 なぜ、颯斗にダボダボな服を着せたか。

それはただ一つ。

脱がせやすい。それだけだった。

そして今、その役割をちゃんと果たした服は振りまくったコーラに濡れている。

「シュワァァァァァァァ…」

「やァッ!!!」
短い悲鳴が上がると郁が一気にその口をふさいだ。
炭酸と右手のパワーは尋常じゃないらしく、颯斗の涙はじょじょに、その量をましていく。
そして俺も左手でスプライトのふたを開ける。
思い切り颯斗の双球に押し付けて。

「んーん!!!ん!!!!!!!!」

言葉が出せないのだろう。
だが随分と痛そうにしている。まぁ。自分でもあまり触らないところに、二酸化炭素をまとうことをした経験がないからだろうけど。
「ハッハッ…。」

ぐいぐいいれさせられるのは手かコーラかスプライトか。

颯斗はその場で叫びもあげられないまま、気を失ってしまった。

それからは颯斗に通常の制服を着せてから、生徒会室に颯斗を入れた。

「さあ。今夜はどんなことをしようか…?」

颯斗に不敵に微笑んだ俺と郁と不知火は笑いながら颯斗を箪笥の中に閉じ込めた。

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