10*09

□Hello,俺の愛しい人。
1ページ/1ページ

「琥太、ろ…さ、んッ!!」
啼きながら俺の名前を呼ぶのに俺はといえば、嫌がる颯斗にも構わず颯斗が嫌だ。と言った陰部に思い切り指を突っ込む。
「ひやぁーーあ!!!やあ、やめ、琥太…あん!」
5分ほど前までキスを連発させていて、ようやく啼き止んだと思った颯斗は嫌いなところをくるくる指で廻され耐え切れなくなり結局また啼いてしまった。
颯斗が好きなのは、キス。
本人に聞いた事はないが、キスは気分が良くなるのか、キスしてやると嬉しいのか颯斗の頬が緩む。甘い声だってディープにすれば溢れんばかりにその麗しい口から零れ落ちるし、例えショートだとしても颯斗は嬉しそうにキスし返してくれる。…言ってしまえばショートキスは1回しかしたことがないけれど。
それとは対に、嫌いなのは颯斗の陰部に一気に指を挿れられて廻されて抜かれること。
それの理由は大体分かる。
毎回毎回、俺がそういう行為に出ると颯斗は毎回「いやぁ」と言う。初めて颯斗に対して、そういう行為をしたときに調子に乗って俺がなんでって聞いた事があって、その時に颯斗はこう言った。
「ら…てぇ、いた、い…琥太郎さんが、くりゅって廻すと痛い、ヵ…らぁ…、いやぁ」
それを聞いた時、俺は驚きが身体中を駆け巡った事を覚えている。
(あんまり痛くした覚えはないのにな…)
まあ、確かに言われてみれば、ああいったことをしたら毎回颯斗は「いたい」か「いや」かしか言わない。それに気付かない俺の方が鈍いのかもしれない。

だけど。
流石に無自覚で恋人以外を翻弄、陶酔させ、そしてそれに全く気付かないほど俺は鈍くなった覚えはない。つまり。
「颯斗は俺より鈍い。」
「ごめ…ん、なさい…許し、てぇ、琥太郎さん。琥太郎さん…」
俺の本音が口に出たのだろう。
颯斗が、未だ俺が中を慣らすために廻しているにもかかわらず、ゆっくりと倒れきっていた身体を起こして、俺と目線を合わせて啼きながら許しを請った。
「ぅっく、ぃっく…ごめん、なさい。琥太郎さん…ごめん、なさ…い、ごめんなさぃぃ…」
最後は涙で潤んでまともに聞き取る事もできなかった。だが、どうせ颯斗のことだ。俺が怒っている事を俺の表情から見取って、訳も分からず謝っているのだろう。だが俺の怒りは、そんな颯斗を見て、逆にムクムクと湧き上がる。颯斗は小さい子供が啼く様に手を目にあてて涙を必死に拭っている。
「ぇっく…ごめ、なさ…」
俺は尚も無言で颯斗の嫌いなのを何回もする。起こしていた身体がまた、倒れてしまった。腰が異常に揺れる。
「は、あ、やあ!!いやあーー!!!い、たぁい!!いや、いや、やあー!!!」
颯斗が俺の枕で顔を隠すのが目に見えていたのであえて枕を遠くに投げる。
「ぁ」
颯斗が先を越されてしまい顔を隠すものが無くなったからか、俺の顔を見て余計に啼き出してしまった。
「意地…わりゅ、琥太、ろ…さん、やん、動かな、い…でぇ」
呂律が廻らないから、いつも通りの話し方をせず、啼きに啼いた顔は涙で濡れていたが、汚いと言う要素は一個もなかった。寧ろ綺麗な泣き顔である。
そんな颯斗の顔を見て俺は得意げになる。どうだ。俺はお前が知らない颯斗の顔を一杯知ってるんだ。

俺は今になって気付いた。
俺は嫉妬しているんだ。

「午前中に資料を作成しますので…そうですね。お昼休みにでも…どうですか?先生。」
今は因みに午前7時。珍しく俺は起きていて、保健室に薬品をそろえていた。そんな時に颯斗が来た。
「どうした?」
と俺が言うのに颯斗は頼んまれていた資料を今日中に渡せると言う事を伝えに来たらしい。その時はそれだけだったから、ああ。分かった。だけで俺も済ませた。
だが、どうだ。時間が過ぎていき、午前中の授業が終わり廊下が騒がしくなり、俺が保健室から出た時に、丁度前をかなり大量の資料をその華奢な身体で支えながら歩いてくる颯斗を見て、颯斗、と呼びかけようとしたときだ。
丁度隣から出てきた不知火によって俺の喉に愛しの名前が張り付いた。
何か二人は話しているようで、不知火は笑っていて颯斗も笑っていた。そして颯斗が横にいた不知火に気を取られてしまい他の生徒が延ばしていた足に躓き転びかけた時ー…
「あ…」
不知火が颯斗を抱きかかえ、資料もしっかり抱えられていた。
颯斗は為すがままにされている。
俺の心の中で何かがムワムワと埋めた。
そんな俺の心中を知りもしない颯斗は不知火に向かってお辞儀をし、礼を言っていた。
それだけならよかったのに。
 颯斗は無自覚で他人を酔わせる事がある。
知らず知らずの間にその口や、睫毛、目、全てで酔わせてくる。
それを不知火にやっていた。
当の不知火は顔を真っ赤に染めてどこかへ言ってしまった。
「先生。あの、資料を…!」
颯斗がここに来た時に颯斗の顔が赤かったり、いつもと状態が違っていたら俺は何も言わなかったろう。だけど。
颯斗は凛としながら、そのまま入ってきた。
全く無自覚だったという事だ。
だから、怒った俺は颯斗を押し倒し、舞う資料の中で犯した。
犯しつくしたが故に今は夜。


「や、やあ!!ひぁ、あ!」
第二関節まで行ったとき俺はそこで指を一気に廻す。慣らす目的よりもただ単に颯斗の甘い声が聞きたかったから廻してみる。
「お前は…鈍すぎる…。」
俺は小声で言ってから、やはり指を勢い欲廻す。蜜が絡みつく感覚がたまらない。
「ん…あ!ああん!!」
「は…っは、あ、ぃ…ん!!ああ!!」

こんな風に学校じゃ見せないような顔を、不知火にも見せない顔を俺にだけは見せてくれる。そう考えると、俺の嫉妬の固まりは段々消えていった。
「颯斗…もう…挿れて、いいだろ?もう、我慢が出来ない。」
「え?、や、ん…いい…です…。」
「、」
「琥太郎さんが…好きだから…、いいです。」
ほらな。
俺は不知火なんかに負けてない。
俺が好きなのは颯斗だけで、颯斗が好きなのも俺だけなんだから。
「じゃ…挿れるぞ…。」
コクンと頷き颯斗は震える手で俺の腕を握る。
大分慣らしたからローションも使わなくていいだろうと思いそのまま単体で俺自身を突っ込む。
「や!!…あああ!!!」
「いい…颯斗…もっと、もっと…締めて…」
「いや、や、やあああ!!!!」


夜の中で、
ベッドの中で。
颯斗は生まれ変わる、
ちゃんと理由を説明したから、颯斗はきっともう、そういう無自覚を直してくれる事だろう。
それで、もう一回こういうことがあったなら。また俺がしかってやるから。

夢の中で生まれ変わって。

明日朝起きたら。

生まれ変わっていて。

生まれ変わった愛しい愛しい颯斗におはようって言おう。

Good bye,俺の愛しい人。
生まれ変わってまた、俺に会った時は、

Hello,俺の愛しい人。

って言ってやろう。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ