04*09

□Water likes poison.
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「少し話しがあるんだ。いいかな?」
生徒会室で仕事をしていたらイキナリ生徒指導の小野寺先生から声をかけられたので僕はハッと顔を上げ笑いながら「いいですよ。」と応じた。
それから夜久さんと翼君に少々出てきますね。と伝えてから廊下を出た。そしたらイキナリ腕をつかまれて走り出されてしまい、僕もソレに引きずられる形で先生の後を追った。
「ヒュウウウウ…」
冷たい風が頬をかすめる。ついた先は校庭だった。意味が分からなくて「先生?」と僕が声をかけるのと先生が僕の髪を引っ張るのはほぼ同時だった。「いたっ…ちょっ…あの、先生?」
そんな風に言う僕に向けてきた先生の顔は先程までの厳しいのと優しいのが混じったような表情ではなく、どこかの鬼神を想像させるような顔をしていた。その様子に僕は驚く。なんだ?何事だ?
「テメエは!!!!なんであの珍獣を強制しねえんだ
!!!」
僕の痛みにゆがんだ表情に【怪訝】が差したのが伝わったのか先生はもっと髪をつかむ力を強くしてきた。
「不知火だよ!!!!あんな獣をなんでテメエは強制しねえんだ!!!今日だって俺の頭を殴ってきたんだ!!それもこれもテメエのせいだろうが!!!」
「!…それは…申し訳ありませんでした。あの…でも、そんなことを意味なく彼はしないはずなので何か理由があるのだと…」
なんとも八つ当たり以外の何者でもない話に一応僕は謝罪する。けれど会長が理由もなく人を殴るはずないと思えない。そう思ったことを正直に言ってしまった僕の髪を引っ張る力よりいっそう強くしながら先生は怒鳴りつけてきた。
「ふざけんな!!そんなのあるわけねえだろ!獣なんだよ!アイツは!!」
そうなんども親しい人を侮辱されてはさすがの僕もイラついた。
「そういう風にまとめたから殴られたのでは?第一あなたは最近、特に何もしてない生徒によくあたっているとの噂が流れているのですが。そんな行動に会長の怒りが爆発したから…!!!」
一瞬何が起こったのかわからなかった。気付いた時には自分の髪が頬に張り付いていて、とてつもない寒気が全身を襲ってきた。
「ビチャビチャビチャビチャッッ!!!!!」
地面に水が落ちる音が妙に五月蝿く聞こえた。
わけわからない状況に僕が反射で上を向くと先生がバケツをひっくり返して中に入っていた水を僕に向けてぶちまけているのが目に入って、ようやく僕の感覚がじわじわと戻ってきていた。
外気が真冬並みに寒いため水が異常に冷たく感じる。全身が凍える。サムイ。イタイ。ヤメテ。
見ると先生の周りには、出た時気づかなかったようでバケツが大量においてある。そしてそのどれもが水で埋め尽くされていた。
ーモシカシテ…イヤダ…イヤイヤ、イヤ!!−
「やめッ!!あん!!あああ!!!」
水分を吸い込んだ服がベタベタと張り付いて気持ち悪い。−ダレカタスケテー
「お前なんか!!!死ねばいいんだ!!!」
僕の叫びをかき消すように先生は水を僕に次から次へとかける。
「いやあ!!あん!!!んせぇ!!いたい!!やめて!」
自分の涙なのか水なのかわからないくらいに濡れた顔からは血の気が引いていった。
どれくらいそうしていただろうか。濡れた地面に倒れこみ凍える身体を抱いてはくはく言う口が馬鹿みたいに開閉を繰り返した。その間にも拷問は続いていた。そんな中、僕は意識が飛びそうになるのをなんとかくいとめながら助けてと願った。その時突然水をかけていた先生の手が止まり、同時にバンという扉を押し開ける音がした。ああ、誰か来てくれた。と少しも喜ぶ余裕もなく僕の意識はとんだ。
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