NOVEL!
□リレントレスディペンダンス
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ふふふ、理解されようなんて微塵も思ってないわ。あなたのように、自分の信条を主張して理解されようとしている人種とは、ジャンルが違うの。信条にも多種多様なジャンルがあるわ。
あら、まあ――可愛い。ぽかーんと開けたそのお口、まだクッキーが欲しいのかしら? それともアメ?
それとも……私? 良ければ、芯まで愛でてあげるわよ? とろとろに溶かし尽くして、快楽の素晴らしさを手取り足取り教えてア・ゲ・ル♪ うふふっ♪
もう、お顔が真っ赤ねぇ。冗談にしてあげるわ。今回は特別。
ねぇ、お願いがあるの。聞いて。
あなたを縛ったことは、ここでお詫びするわ。ごめんなさい。許して。
だから、一回……抱き締めさせて。縄をほどいてあげるから、抱き合いましょう? ぎゅーって。
理由? そんなのないわよ。白紙同然。
ただ、あなたに抱き締めて貰いたい……と、思ったから。精々それぐらい。
一々、意味が要る? そんなにお堅いと疲れちゃうわよ。もっとリラックスが必要だわ。ナンセンス、最高じゃない?
理屈より、直感よ。
論理なんて、後付けでいい。
だから、無意味に抱き合いましょう?
産まれた姿で、暖め合いましょう――?
Ω Ω Ω Ω Ω
ほら、足まで絡ませて。どこも放置しないで。芯をも火照らすのよ。
恥ずかしい? いいじゃない、羞恥心を忘れない気持ち、流石よ。惚れ惚れしちゃうわ。
なかなか、いい躯してるわね。私もそれなりに自信があるけど、あなたも負けてない。淫らで、扇情的だわ。
ああ、とてもいい空間――毛布を被って良かったわ。あなたの髪、汗、口の匂いが私と混じって、ドキドキする。どんどん躯が火照っていく。
ねぇ、うなじを撫でて? 代わりに私はあなたの髪を撫でるから。
そう、そうよ……いい、揉むようにしてくれるなんて、サービス心旺盛ね♪
しかし、綺麗な髪ね……ちゅ。キスしちゃった。ふわふわしてて、気持ちよさそうだったから――あいた、お尻抓らないで。悪かったわ。
ふふ、いいでしょ? なかなか。女の子は柔らかいわよ。まるで水饅頭なの。
ねぇ、のしかかってくれる? あなたの重みを、この身で体験したいの。
あっ、ああ……ずっしりくる。でもこれがベスト。心地良い。あなたの髪が私の耳を包んでくれている。ありがとう。とても気持ちいいわ。
乳房と乳房が重なり合う。苦しい? 寧ろ落ち着く? そうね、私も後者。
うふ、顔がとても近いわね。吐息と吐息がぶつかって、ほっぺたがとろんと弛緩するわ。熱い視線が交じり合い、気持ちが以心伝心で繋がり合うの。
呼吸に合わせて、上下運動。頬摺りしながら、撫で合い、揉み合い。もう言葉にしなくても、あなたは私のここだと思う場所を愛してくれる。
あら、いつの間にか汗まみれ。毛布の中はムンムンと蒸し暑い。呼吸もどんどん荒くなる。
もう少し、もう少しよ。背中に回した腕を緩めないで。もっと密着して。あなたの体温をたくさん頂戴。
私もあなたも顔は真っ赤っか。目眩がするわ、堪らない。
でも、いいじゃない――今だけ溺れましょう? 濃厚な絡み合い、それから生じる興奮は決して偽りにならないわ。無窮の真実が宿っている。感情の摩天楼は私とあなたを絶対に裏切らない。
次は、私があなたの上に……ぁあ、受け止めてくれてありがとう。大好き。
首周りがヌルヌルして、ジンジンと痒いわ。血が沸騰してるの……くつくつ、くつくつとね。
ねぇ……私の名前を、呼んで。
「幽……香、さ――」
イヤ。さん付けなんて、他人行儀。
幽香って、呼び捨てでいい。他人じゃない私を受け止めて――お願い。
「幽香……幽香。私もあなたを、好きになり――たい。好きにならせて、どうか好きにならせて下さい。愛しています」
ええ、勿論……拒絶なんかしないわ。
愛してる、白蓮。来てくれて、ありがとう。
Ω Ω Ω Ω Ω
姐さんがあの花の妖怪の拠点にまで単独で足を運び、理想の布教をしてから何日が経っただろうか。
あれから姐さんはちょくちょく花の妖怪と逢瀬を続けている。理由は分からない。そして彼女自身が語らないからだ。
雲山は何も云わない。寅丸もムラサもナズーリンも、命蓮寺の面子は聖を止めようとしない。寧ろ、「白蓮に友人ができたんだ」と喜んでいる。そう、姐さんは堂々としており、花の妖怪との密会を内緒にはしていないのだ。
妖怪と人間の平等的共存。それが姐さんの掲げるキャッチフレーズ。即ち信条。