BL

□乾貞治HappyBirthday.2011
1ページ/1ページ

それは朝不器用な恋人からの一通の手紙。
直接渡された訳でもなければその手紙に差出人の名前が書かれている訳でもない。
ただ上履きの上に置いてあった一文だけの手紙。
字を見れば差出人が分かってしまう俺にだからこそ通用する技であって、こんなこと他の誰かにすれば勿論悪戯にしか見えないだろう。
俺はそんな手紙を片手に差出人と顔を合わせる唯一の放課後を待った。
多分、俺を見るなり不自然に逃げて行くんだろう。
「なぁ、海堂?」
都合よく今日はダブルスの練習だった。
逃げたくても逃げられない海堂は眼を合わせまいと必死だ。
「海堂、朝の手紙…お前がやったんだろ?」
分かっていて尚確認するかのように問う。
「字を見れば…アンタなら分かるだろ。」
「それでも確認は必要だ。」
海堂は俯いて更に2mほど離れ、警戒態勢は完璧だ。
俺は少しショックを受けた。
そんなに警戒しなくてもいいだろう?
で、答えはどうなのだろう。
俺は海堂を覗き込んだ。
さすればどうだろう。
真っ赤になりながら恥ずかしさのせいで涙目にもなりかけている。
「…海堂?」
「お誕生日…おめでとう、ございますっ。」
手紙と同じ文章を小さな消え入りそうな声で呟くと海堂はものすごいスピードで走っていった。
そんなことをすれば海堂も、海堂が逃げなければならないような原因を作った俺も校庭を走らされるのでまた顔を合わせることになると…今の海堂には考えられないか。
「真っ赤…だったしな。ふむ、いいデータが取れた。」
自分の恋人に関してデータが増えるのは悪くない。
俺は手塚に怒られるまでの20分間、海堂のデータを記録するのに専念した。





end...











あとがき
初・乾海です(*´∇`*)
海堂をいかに猫のように描けるか!!というのを頑張りました。
乾さんに関しては…目指せむっつりスケベ!みたいな…( ̄▽ ̄;)
そんな感じで大分遅くなりましたが乾誕小説でした。
2011/6/19/日向.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ